介護のはじまりガイド
ケアプランとは? — 作り方・確認すべきポイント・修正したいときの伝え方
要介護認定が出たら、次は「ケアプラン」を作るステップです。ケアプランはサービス利用の設計図ですが、「何が書いてあるのかよくわからない」「修正したいけれど言い出しにくい」という声をよく聞きます。家族として何を確認し、どう関わればよいかをわかりやすく整理しました。
公開: 2026-06-20
ケアプランとは — サービス利用の設計図
要介護認定が出て、ケアマネジャーさんと契約しました。「次はケアプランを作ります」と言われたんですが、ケアプランって何ですか?
ケアプランは、介護保険のサービスをどのように使うか定めた計画書です。正式名称は要介護1〜5の方の場合「居宅サービス計画」、施設に入所している方は「施設サービス計画」といいます。
要支援の人は違う名前なんですか?
要支援1・2の方は「介護予防サービス計画」という名称で、地域包括支援センターが作成を担当します。ここでは要介護1〜5の方向けのケアプランを中心に説明しますね。
- 居宅サービス計画: 要介護1〜5で在宅生活の方 → 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成
- 介護予防サービス計画: 要支援1〜2の方 → 地域包括支援センター(または委託先)が作成
- 施設サービス計画: 施設に入所している方 → 施設に常駐するケアマネジャーが作成
- 作成費用はゼロ円: ケアマネジャーへの報酬は介護保険から全額給付されるため、利用者の自己負担はかかりません
作成費用がかからないのは知らなかったです。ケアマネジャーさんへのお礼とか、必要ないんですか?
必要ありません。ケアマネジャーへの報酬は介護保険から支払われていますので、利用者・家族がお金を払う必要は一切ありません。安心して相談してください。
ケアプランに含まれる項目
ケアプランには、具体的にどんなことが書かれているんですか?
ケアプランは複数の帳票で構成されていますが、本人の意向・目標・具体的なサービスの内容が中心です。主な記載項目を整理しますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アセスメント結果 | 本人・家族の状況、心身機能、生活環境などの課題分析 |
| 本人・家族の意向 | 「できる限り自宅で過ごしたい」など本人・家族の希望や目標 |
| 総合的な援助方針 | ケアマネジャーが立てた全体的な支援の方向性 |
| 生活全般の解決すべき課題 | 日常生活で困っていること・支援が必要な課題 |
| 目標(長期・短期) | 「3か月後に歩行器で廊下を歩けるようになる」などの具体的な目標 |
| サービスの種別と内容 | 訪問介護・通所介護・訪問看護など利用するサービスの詳細 |
| 頻度・利用日時 | 週何回・何曜日・何時間などのスケジュール |
| 担当事業所・担当者 | 各サービスを提供する事業所名と担当者 |
| 自己負担額の目安 | サービスごとの利用単位数と自己負担額の概算 |
※ ケアプランは「第1表〜第7表」などの様式に分かれていますが、利用者に渡されるのは主に第1〜3表です。
目標まで書かれているんですね。「とにかく転ばないように」みたいなあいまいな目標じゃなくて、具体的なものになるんですか?
そうです。ケアプランの目標は「長期目標」と「短期目標」の2段階で設定されます。「3か月後に自分でお風呂に入れるようになる(短期)」→「6か月後に自宅で安全に生活できる(長期)」のように、具体的な達成期間とともに書かれます。
ケアプラン作成の流れ — 5つのステップ
ケアプランはどうやって作られるんですか? ケアマネジャーさんが一人で決めるんでしょうか?
いいえ、本人・家族の意向を出発点に、複数の関係者が関与して作成されます。大きく5つのステップがあります。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| Step 1: アセスメント | ケアマネジャーが本人・家族と面談し、心身の状態・生活環境・意向を丁寧に聞き取る | 「何に困っているか」「どう暮らしたいか」を正直に伝えることが重要 |
| Step 2: ケアプラン原案の作成 | アセスメントをもとに、ケアマネジャーがサービスの種類・頻度・目標などの原案を作成する | 原案はあくまで「案」。家族も内容を確認できる |
| Step 3: サービス担当者会議 | 本人・家族・各サービス事業者・ケアマネジャーが集まり、原案の内容を協議・調整する | 疑問や要望はこの場で遠慮なく伝えてよい |
| Step 4: 本人の同意(署名・押印) | 最終的なケアプランの内容に本人(または家族)が同意し、署名・押印する | 同意する前に不明点はすべて確認すること |
| Step 5: サービス利用開始 | 各サービス事業所とそれぞれ契約し、ケアプランに沿ったサービスが始まる | モニタリング(月1回以上の訪問)でケアマネジャーが定期的に状況確認する |
※ 居宅のケアマネジャーは、利用者の自宅を月1回以上訪問してモニタリング(状況確認)を行うことが義務付けられています。
サービス担当者会議というのは、けっこう大勢が集まるんですか? 何を決める会議ですか?
ケアマネジャーを中心に、訪問介護・デイサービス・訪問看護などの担当者、そして本人・家族が参加します。「週3回のデイサービスにするか、週2回にするか」「入浴介助は訪問介護でカバーするか」などサービスの内容・頻度を具体的に調整する場です。
会議に出るのは少し緊張しますね。でも、家族の意見も言える場ということですね。
はい、サービス担当者会議は家族が意見を伝える大切な機会です。「もう少し入浴のサポートを増やしてほしい」「通院の付き添いをお願いしたい」など、具体的な要望があればこの場で話してください。遠慮は禁物です。
家族として確認すべきポイント
ケアプランをもらったとき、どこを確認すればいいですか? 書類が多くて、どこを見たらいいかわからなくて……。
確認すべきポイントを絞りますね。目標・頻度・費用・緊急時の対応の4点を軸に確認するのがおすすめです。
- 目標は本人の希望と一致しているか? — 「自分でトイレに行きたい」「孫と外出したい」など本人の言葉が反映されているか確認する。一般的な文言になっていたら具体化を依頼できる
- サービスの頻度・曜日・時間は生活リズムに合っているか? — デイサービスの曜日、訪問介護の時間が無理のないスケジュールかを確認する
- 自己負担額はどのくらいか? — 介護保険の支給限度額を超えていないか、超えた分の費用はどう扱われるかを確認する
- 緊急時の対応方法が記載されているか? — 急に状態が悪くなったとき、誰にどう連絡するかが書かれているか確認する
支給限度額って何ですか? 超えたらどうなるんでしょう?
介護保険には要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限額(支給限度額)があります。上限の範囲内のサービスは原則1割(所得に応じ2〜3割)の自己負担で使えますが、上限を超えた分は全額自己負担になります。ケアプランに上限額と現在の見込み額の両方が書かれているか確認しましょう。
ケアマネジャーさんがうまく調整してくれると思っていたんですが、家族も積極的に関わった方がいいんですね。
そうです。ケアマネジャーはプロですが、本人の日常の状態や家族のサポート力を一番よく知っているのはご家族です。「先週から夜中に何度も起きている」「食欲が落ちてきた」などの変化を伝えることが、適切なケアプランにつながります。
修正したいとき・違和感があるときの伝え方
ケアプランの内容に「ちょっと違うかな」と感じたとき、変えてもらうことはできますか? ケアマネジャーさんに言い出しにくくて……。
ケアプランはいつでも修正できます。「現状に合っていない」「もっとこうしてほしい」という気持ちを伝えることは、利用者・家族の正当な権利です。遠慮せずにケアマネジャーに相談してください。
- サービスの内容や頻度が「多すぎる・少なすぎる」と感じる
- 目標が本人の希望とずれていると感じる
- 担当のサービス事業所・担当者が合わないと感じる
- 本人の状態が大きく変わった(悪化した、または改善した)
- 「このサービスを追加してほしい」「このサービスはやめたい」という希望がある
- ケアマネジャーとのコミュニケーションがうまくいっていない
どうやって伝えればいいですか? 「こうしてほしい」とはっきり言っていいんでしょうか?
はっきり伝えてください。伝え方としては、「〜が困っている」と具体的な状況を話したうえで「どうしたらいいか相談したい」と言うのがスムーズです。「こうすべきだ」と一方的に主張するより、課題を共有して一緒に考えるスタンスが、より良い解決につながりやすいです。
ケアマネジャーを変えることもできるんですか?
できます。「ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)を変更したい」と市区町村か地域包括支援センターに相談すれば手続きを案内してもらえます。ただし、まず率直に話してみることが第一歩です。良いケアプランは、ケアマネジャーと家族が対等なパートナーとして関わることで生まれます。
セルフケアプラン(自己作成)という選択肢
知人から「ケアプランは自分で作ることもできる」と聞きました。それって本当ですか?
本当です。「セルフケアプラン(自己作成ケアプラン)」といって、法令上、本人や家族自身がケアプランを作成して市区町村に届け出ることが認められています。
自分で作ったほうがケアマネジャーへの費用がかからないとか、メリットはありますか?
ケアマネジャーへの報酬はもともと介護保険から全額給付されるため、利用者が節約できるコストはありません。また、セルフケアプランでは書類作成・サービス事業所との調整・市区町村への届け出・モニタリングなどをすべて自分で行う必要があり、負担はかなり大きいです。
- サービス事業所との調整・契約をすべて自分で行う必要がある
- ケアプランの書式(第1〜7表)に沿って作成し、市区町村に届け出る必要がある
- 状態が変化したときの計画変更も自分で対応しなければならない
- 「ケアマネジャーに知られたくない」などの事情がある場合には選択肢になりうるが、一般的には難易度が高い
- 迷ったら、まず地域包括支援センターに相談するのが安全
ケアマネジャーなしで全部やるのは大変そうですね。一般的にはケアマネジャーにお願いする方がいいということですね。
ほとんどの方にとってはその方が安全です。大切なのは、ケアマネジャーとの関係を「お任せ」ではなく「一緒に考えるパートナー」として築くこと。家族の声はケアプランの質を上げる大事な材料です。ぜひ積極的に関わってください。
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「居宅介護支援(ケアマネジメント)」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)について」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 (参照: 2026-06-20)
- 東京都福祉局「ケアプランの作成について」 (参照: 2026-06-20)