介護のはじまりガイド
一人で抱え込まないで — 介護の相談先まとめ (地域包括・ケアマネ・市役所・かかりつけ医)
介護を考え始めると、「地域包括支援センター」「ケアマネジャー」「市役所の介護保険課」「かかりつけ医」と、たくさんの相談先が出てきます。どこに何を相談すればいいのか、わからなくて当然です。この記事では、4つの窓口の役割を整理し、「いつ・何を・どこに」相談すればいいかをまとめます。
公開: 2026-06-20
なぜ相談先がこんなにあるのか — 役割が違うから
前の記事で「まず地域包括支援センターに電話して」と教えてもらいましたが、調べるとケアマネジャーや市役所や病院にも相談できるって書いてあって……どこが違うんですか?
混乱するのは当然です。介護の相談先が複数あるのは、それぞれ担当する役割が違うから。一箇所で全部できるわけではなく、状況に応じて窓口が変わるんです。
役割が違うんですね。それぞれ何をしてくれるんですか?
大きく整理すると、「最初の総合相談」「サービス計画の調整」「認定手続き」「医学的な判断」 の4つに分かれます。下の表でざっと比べてみてください。
| 相談先 | 主な役割 | いつ使うか | 費用 |
|---|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 介護の総合相談・窓口案内 | 何から始めるかわからない時。最初の一歩 | 無料 |
| ケアマネジャー | 要介護認定後のケアプラン作成・サービス調整 | 要介護1〜5の認定が出た後 | 利用者負担なし(介護保険から全額給付) |
| 市区町村の介護保険課 | 要介護認定の申請・公的手続き | 認定申請を出す時・認定更新の時 | 手続き無料 |
| かかりつけ医 | 医学的診断・主治医意見書の作成 | 認定申請時・認知症の疑いがある時 | 診察費(保険診療) |
なるほど……。表を見ると、使うタイミングが違うんですね。
そうです。最初は地域包括支援センターに相談し、状況が進んだら他の窓口につないでもらうという流れが基本です。一つひとつ、詳しく見ていきましょう。
地域包括支援センター — 最初の窓口、介護の何でも相談
地域包括支援センターは、市区町村が設置している介護の総合相談窓口です。介護保険法に基づき、全国の各市区町村に設置されており、相談は無料。「何から手をつければいいかわからない」という段階から受け付けてくれます。
「総合相談」というのは、どんな内容でも受け付けてくれるということですか?
そうです。介護保険のこと・認知症のこと・お金の心配・近所の見守りサービス・家族内のもめごとまで、幅広い相談を受け付けています。センターには保健師・社会福祉士・ケアマネジャー(介護支援専門員)の3職種が配置されており、内容に応じて専門職が対応してくれます。
- 介護全般の相談 — 「介護が必要かどうか」「何をすればいいか」の入口相談
- 介護予防の支援 — まだ要介護ではないが心配な段階の予防的なサービス案内
- 関係機関へのつなぎ — かかりつけ医・認定申請・ケアマネジャーへの橋渡し
- 権利擁護 — 高齢者虐待の相談、成年後見制度の案内
担当エリアがあるって書いてありましたが、自分の親が住んでいる地域のセンターに電話すればいいですか?
はい、本人が住んでいる市区町村の担当エリアのセンターに連絡します。市区町村のウェブサイトか、市区町村の代表番号に「介護の相談窓口を教えてください」と聞けば教えてもらえます。電話で相談できますし、直接訪問することも可能です。
ケアマネジャー — 要介護認定後の「コーディネーター」
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護認定を受けた後に中心的な役割を担う専門職です。利用者の状況を把握し、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成して、デイサービス・ヘルパー・福祉用具など複数のサービスを調整・マネジメントします。
「ケアプラン」というのは、どんなものですか?
利用者の希望と状態に合わせた「介護サービスの設計書」です。「週3回デイサービス」「月2回ヘルパー」「福祉用具のレンタル」など、どのサービスをいつ使うかをまとめたもので、ケアマネジャーが作成・更新を担当します。
- 正式名称 — 介護支援専門員(国が定めた公的資格)
- 利用者の費用負担はゼロ — ケアマネジメント費用は介護保険から全額給付される(自己負担なし)
- 依頼のタイミング — 要介護1〜5の認定が出た後。「居宅介護支援事業所」に所属するケアマネジャーに依頼する
- 探し方 — 地域包括支援センターか市区町村に紹介を依頼するか、市区町村のウェブサイトで「居宅介護支援事業所」の一覧から探す
「要介護認定が出た後」ということは、認定前はケアマネジャーには相談できないんですか?
認定前の相談は地域包括支援センターが担当します。認定が出てから正式にケアマネジャーと契約する、という流れです。ただし、「要支援1・2」の認定が出た場合はケアマネジャーではなく、地域包括支援センターが直接支援計画を作成します。要介護1以上の認定が出た場合に、居宅のケアマネジャーへの依頼が始まります。
市区町村の介護保険課 — 認定申請・公的手続きの窓口
介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定の申請が必要です。申請窓口は本人が住む市区町村の介護保険担当課。自治体によって「介護保険課」「高齢福祉課」「介護福祉課」など名称が異なりますが、市区町村の代表番号に「介護の認定申請をしたい」と伝えれば案内してもらえます。
認定申請は本人が窓口に行かないとダメですか? 体が不自由な場合は?
家族が代わりに申請できます。また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの所属機関)に代行申請を依頼することも可能です。認定が出るまでの流れは①申請 → ②認定調査(訪問) → ③主治医意見書の提出 → ④審査 → ⑤認定通知(申請から原則30日以内)となっています。
- 要介護認定の申請受付 — 本人申請・家族申請・代行申請に対応
- 認定の更新・区分変更の申請 — 状態が変わった時の変更申請も同じ窓口
- 介護保険被保険者証の発行 — 40歳以上の方に発行される、サービス利用に必要なカード
- 利用料の軽減制度の案内 — 所得に応じた自己負担軽減の制度(高額介護サービス費等)
申請から認定まで30日ということは、急いで申請しないと間に合わないケースもあるんですね。
そうです。認定前でも「暫定プラン」でサービスを使い始めることは可能ですが、認定結果によって費用負担が変わるリスクがあります。認定が必要そうだと思った段階で、早めに申請しておくのがベターです。急ぐ必要があるときは「要介護認定の申請を早急にしたい」と市区町村窓口に伝えると対応してもらいやすくなります。
かかりつけ医 — 医学的な判断と認定申請に不可欠な存在
かかりつけ医は、介護の場面でもどういう役割を果たすんですか? ふだん通っているお医者さんでいいんでしょうか。
かかりつけ医は介護保険の認定申請に不可欠です。市区町村が要介護認定を行う際、主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。これは医師だけが書けるもので、認定審査の重要な資料になります。ふだん受診しているかかりつけ医でOKです。
- 主治医意見書の作成 — 要介護認定申請時に、市区町村からの依頼を受けて作成する(申請者が依頼するのではなく市区町村が依頼)
- 認知症の診断 — 「認知症かどうか」の医学的な判断はかかりつけ医または専門医が行う
- 服薬・治療方針の管理 — 介護サービスとの兼ね合いで、ケアマネジャーと連携して治療方針を共有
かかりつけ医がいない場合はどうすればいいですか?
かかりつけ医がいない場合は市区町村の指定する医師の診断を受ける必要があります。また、認知症の疑いがある場合は、かかりつけ医に相談した上で「もの忘れ外来」「認知症専門医」への紹介をお願いするのが適切なルートです。かかりつけ医がいない方は、地域包括支援センターに相談すると受診先も案内してもらえます。
「いつ・何を・どこに」相談先マトリクス
4つの窓口の役割はわかってきました。実際の場面で「どこに連絡すればいいか」が一番迷いそうで……。
では、よくある場面ごとに「どこに相談するか」を一覧にしますね。基本的には迷ったらまず地域包括支援センターに電話して、そこから案内してもらう形でも問題ありません。
| こんな時 | 最初にすること | 相談先 |
|---|---|---|
| 「介護が必要かも」と気づいた段階 | まず電話で状況を話す | 地域包括支援センター |
| 要介護認定の申請をしたい | 申請書類を提出する | 市区町村の介護保険担当課(または代行申請の依頼先) |
| 「認知症かも」と感じる症状がある | まず受診・診断を受ける | かかりつけ医(もの忘れ外来・専門医への紹介も相談可) |
| 認定が出た。サービスを使いたい | ケアマネジャーを探して契約する | 居宅介護支援事業所(地域包括に紹介を依頼するか自分で探す) |
| ケアプランを変えたい・サービスを追加したい | 担当のケアマネジャーに連絡 | ケアマネジャー(居宅介護支援事業所) |
| 介護費用の負担が重い・制度を知りたい | 軽減制度の案内を受ける | 市区町村の介護保険担当課・地域包括支援センター |
| 介護で家族間で意見が割れている | 家族間の調整相談をする | 地域包括支援センター(社会福祉士が対応) |
一覧にしてもらうと、すっきりしました。最初の一歩は、やっぱり地域包括支援センターなんですね。
そうです。地域包括支援センターは「介護の総合案内所」と思っていただければ。「何から始めればいいか」も含めて相談できるので、状況の整理ができていない段階でも電話して大丈夫です。
- 介護の情報はインターネットに膨大にありますが、自分の地域・親の状態に合った答えはネット検索では出てきません
- 「調べてから相談しよう」と情報収集を続けているうちに時間が経つのが、介護の最初の落とし穴のひとつです
- 地域包括支援センターへの電話は無料・予約不要・準備不要。「状況を話してみる」だけでいい最初の一歩です
正直、電話するのが怖くて、もっと調べてから……と思っていました。でも、それが落とし穴なんですね。
完璧に準備できてから相談しようとしなくて大丈夫です。「よくわからないから相談したい」というのが、地域包括支援センターに電話するいちばんいい理由です。一人で抱え込まず、最初の一歩を踏み出してみてください。
関連するガイド
出典
- 厚生労働省 地域包括支援センターの概要 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省 介護保険制度の概要 (参照: 2026-06-20)
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「介護保険の主治医意見書とは」 (参照: 2026-06-20)