介護のはじまりガイド
要介護認定の申請方法 — 窓口・必要書類・期間をステップで解説
「介護保険を使いたい」と思っても、サービスをすぐに利用できるわけではありません。まず「要介護認定」を受ける必要があります。申請から認定通知まで原則30日。窓口・書類・調査・判定の流れをステップごとに整理しました。
公開: 2026-06-20
要介護認定とは — なぜ申請が必要なのか
前の記事で「介護保険を使うには要介護認定が必要」と知りました。認定って何ですか? 病院で診断してもらうものとは違うんですか?
要介護認定は、「この人にはどの程度の介護が必要か」を市区町村が公的に認定する手続きです。病院の診断とは別の手続きで、認定を受けて初めて介護保険サービスを1〜3割負担で利用できるようになります。
市区町村が認定するんですね。どんな流れになるんですか?
大きく5つのステップがあります。申請から結果通知まで、原則30日以内で完了します。
| ステップ | 内容 | 担当・窓口 | 目安期間 |
|---|---|---|---|
| Step 1 | 申請書の提出 | 市区町村の介護保険担当窓口 または 地域包括支援センター(代行) | 当日 |
| Step 2 | 認定調査(訪問) | 市区町村の認定調査員が自宅・施設等を訪問 | 申請後 1〜2週間以内 |
| Step 3 | 主治医意見書の収集 | 市区町村が主治医へ直接依頼(本人が依頼するのではない) | Step 2と並行 |
| Step 4 | 一次判定・二次判定 | コンピュータ判定(一次)→ 介護認定審査会(二次) | 調査完了後 1〜2週間 |
| Step 5 | 認定結果通知 | 市区町村から郵送 | 申請から原則30日以内 |
※ 認定調査員の日程調整や審査会の開催タイミングにより、30日を超える場合は「延期通知書」が届きます。
ステップ1 — 申請窓口に行く(誰が・どこへ・何を持って)
まず申請に行くんですね。窓口はどこですか? 本人が行けない場合はどうすればいいですか?
申請窓口は本人が住む市区町村の介護保険担当課です。「高齢福祉課」「介護保険課」「介護福祉課」など自治体によって名称が異なりますが、市区町村の代表番号に「要介護認定の申請をしたい」と伝えれば案内してもらえます。
本人は体が不自由で、窓口に行けないかもしれなくて……。
家族が代わりに申請できます。また、地域包括支援センター・居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが所属する事業所)・介護保険施設に代行申請を依頼することも可能です。本人が窓口に行けなくても申請できるので安心してください。
- 要介護認定申請書 — 窓口にあります。事前に市区町村のウェブサイトからダウンロード・印刷も可
- 介護保険被保険者証 — 65歳以上の方に市区町村から届いている保険証(ない場合は窓口で確認)
- 医療保険被保険者証 — 40〜64歳の第2号被保険者の場合(健康保険証など)
- マイナンバー確認書類 — マイナンバーカード、通知カード+本人確認書類など
- 主治医の情報 — 医療機関名・診療科・医師名(申請書に記入する項目)
主治医の情報、というのは何のためですか?
認定手続きに「主治医意見書」という書類が必要になります。これは市区町村が主治医に直接依頼して取り寄せるもので、申請者が依頼するのではありません。ただし、申請書に主治医の情報(病院名・医師名)を記入するため、事前に確認しておく必要があります。
自分で主治医に頼まなくていいんですね。それは知りませんでした。
ここはよく誤解されるポイントです。主治医意見書の取り寄せは市区町村が行います。申請者がやることは、申請書に主治医の情報を記入するだけです。ただし、かかりつけ医がいない場合や、最近受診していない場合は窓口に事前に相談しておくと安心です。
ステップ2・3 — 認定調査と主治医意見書
申請したあと、自宅に誰かが来るんですか? 何を調べられるのか、心配で……。
はい、市区町村の認定調査員が訪問して、本人と家族から心身の状態を聞き取ります。調査員は市区町村の職員または委託された専門員で、通常は申請後1〜2週間以内に日程調整の連絡が来ます。
具体的には何を聞かれるんですか?
74項目の基本調査と特記事項の記録が行われます。心身機能・生活機能・認知機能など、日常生活でどのくらい介助が必要かを確認します。
| 分野 | 調査する内容の例 |
|---|---|
| 身体機能・起居動作 | 麻痺・拘縮・寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行など |
| 生活機能 | 入浴・排泄・食事・着替えなど日常動作の介助の必要度 |
| 認知機能 | 意思の伝達、物忘れ・徘徊の有無など |
| 精神・行動障害 | ひどい物忘れ・大声を出すなどの行動の有無 |
| 社会生活への適応 | 薬の管理・金銭管理・電話の使用など |
※ 74項目は「身体機能等に関する62項目」と「特別な医療(透析・褥瘡処置等)に関する12項目」で構成されます。
当日、本人以外に家族も同席した方がいいですか?
できれば家族も同席することをおすすめします。調査当日、本人が「普段よりよく見せようとする」傾向があるためです。ふだんの生活で困っていること・介助が必要なことを、家族から正確に補足して伝えることが、適切な認定につながります。
- 「普段できないこと」を正確に伝える — 調査当日だけ頑張れても、ふだんの状態が判定の基準になる
- 良く見せようとしない — 「できるかできないか」ではなく「どれくらい手がかかるか」の調査
- 介護者(家族)からの補足は積極的に — 本人が語れない困りごとを伝える
- 特記事項への記載を意識 — 行動・精神面の変化などは口頭でも伝える
主治医意見書はいつ市区町村が依頼するんですか?
申請を受け付けた後、市区町村が申請書に書かれた主治医へ直接「意見書の作成依頼」を送ります。認定調査と並行して進むので、申請者が別途何か手続きをする必要はありません。ただし、主治医が意見書を書くためには最近の受診記録が必要なため、長期間受診していない場合は事前に診察を受けておくとスムーズです。
ステップ4・5 — 判定から認定結果通知まで
調査が終わったあと、どうやって認定が決まるんですか?
まずコンピュータによる一次判定が行われます。認定調査の74項目をもとに、介護に必要な時間(要介護認定等基準時間)を統計的に推計して、暫定的な区分を出します。
コンピュータだけで決まるわけじゃないんですね。
そうです。一次判定はあくまでも暫定的なもの。次に介護認定審査会という、保健・医療・福祉の専門家で構成された審査会が、一次判定の結果と主治医意見書を合わせて総合的に審査します(二次判定)。これが最終的な認定結果になります。
- 非該当 — 介護・支援は必要ないと判断された状態
- 要支援1・2 — 日常生活はほぼ自分でできるが、一部支援が必要な状態
- 要介護1〜5 — 介護が必要な状態。数字が大きいほど必要な介護が多い
- 申請から結果通知まで原則30日以内。認定書と被保険者証が郵送される
非該当になることもあるんですね。そのときはどうすればいいですか?
非該当の場合、介護保険サービスは利用できませんが、市区町村の介護予防事業や地域のサービスが利用できる場合があります。また、認定結果に納得できない場合は、都道府県の介護保険審査会に不服申立てをすることも可能です。
認定が出るまでの30日間は、サービスを利用できないんですか?
実は申請日にさかのぼってサービスの給付対象になります。そのため、急ぎの場合はケアマネジャーや地域包括支援センターと相談の上、認定前に「暫定ケアプラン」でサービスを使い始めることも可能です。ただし、認定結果が想定より低い区分だった場合に自己負担が増えるリスクがあるため、事前に窓口でよく相談することをおすすめします。
認定結果の見方と次の一歩
認定通知が届いたあと、すぐにサービスを使えるんですか?
要介護1〜5の認定が出たら、次はケアマネジャーと契約してケアプランを作るステップです。ケアプランには「どのサービスをいつ利用するか」が記載され、これが確定するとサービスが始まります。ケアマネジャーへの報酬は介護保険から全額給付されるため、利用者の自己負担はかかりません。
要支援の場合は違うんですか?
要支援1・2の場合は、ケアマネジャーではなく地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成します。デイサービス(通所型)や訪問型の介護予防サービスを利用できます。
| 認定結果 | 次の窓口 | 主に使えるサービス |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 地域包括支援センター(介護予防ケアプランを作成) | 介護予防訪問サービス、介護予防通所サービスなど |
| 要介護1〜5 | 居宅介護支援事業所(ケアマネジャーと契約) | 訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入所など |
| 非該当 | 市区町村または地域包括支援センター | 介護予防事業(一般介護予防)、地域のサービス |
※ 認定の有効期間は新規の場合は原則6か月(3〜12か月の範囲で設定)。更新申請は有効期間満了の60日前から可能です。
認定には期限があるんですね。更新を忘れると?
認定の有効期間が切れると介護保険サービスが使えなくなります。更新申請を忘れないよう、有効期間の満了日の60日前から申請できるので、余裕をもって手続きしましょう。市区町村から更新の案内が届きますが、届かない場合は担当ケアマネジャーか地域包括支援センターに確認を。
申請時の注意点・よくある落とし穴
申請してみようと思いますが、他に気をつけることはありますか?
いくつか「知らなかった」と後悔しやすいポイントをまとめますね。
- 申請はできるだけ早く — 認定まで原則30日かかるため、「必要になってから申請」では間に合わないことがある。介護が必要かもしれないと感じた段階で早めに動くのが正解
- 主治医が決まっていない場合は先に受診を — かかりつけ医がいないと意見書が書けない。申請前にまず受診しておくこと
- 認定調査当日は普段の状態を正直に伝える — できないことを「できる」と言うと、実際の状態より低い認定が出る可能性がある
- 区分変更申請という手段もある — 認定後に状態が著しく変わった場合、有効期間中でも「区分変更申請」で再認定を受けられる
- 不服申立ての期間は3か月以内 — 認定結果に異議がある場合、結果通知を受けた翌日から3か月以内に都道府県の介護保険審査会に申立てができる
区分変更申請は知らなかったです。状態が急に悪くなったらすぐ使えるんですね。
そうです。認定は固定ではなく、状態に合わせて見直せます。「今の認定区分でサービスが足りない」と感じたら、まずケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してください。一人で抱え込まず、専門家を頼ることが一番の近道です。
ありがとうございます。申請の全体像がよくわかりました。まず地域包括支援センターに相談してから申請に行ってみます。
地域包括支援センターでは申請書の書き方の案内から代行申請まで対応してもらえるので、一人で悩まずぜひ相談してみてください。認定が出たら、次は「要支援・要介護の違いと使えるサービス」の記事もあわせてご覧ください。
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「要介護認定」ページ (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 (参照: 2026-06-20)
- 横浜市「介護保険(要介護・要支援)認定申請」(申請書類・手続きの参照) (参照: 2026-06-20)
- 東大阪市「要介護・要支援認定結果が出るまでの流れ」(一次・二次判定のプロセス) (参照: 2026-06-20)
- LIFULL介護「要介護認定とは?認定基準や区分、申請〜通知の流れ、有効期限まで」 (参照: 2026-06-20)