介護のはじまりガイド
介護保険制度とは? — しくみと使い方をやさしく解説
「介護保険」という言葉は知っていても、しくみをきちんと説明できる人は意外と少ないものです。親の介護が身近になってきたとき、「何から始めればいいかわからない」という方に向けて、制度の全体像をやさしく整理しました。
公開: 2026-06-20
介護保険制度とは — 社会全体で介護を支えるしくみ
親が最近、物忘れがひどくなって…。「介護保険を使えば」って聞いたんですけど、そもそも介護保険って何ですか?
介護保険は、高齢になって介護が必要になったとき、社会全体でその費用を支え合う公的な保険制度です。2000年4月に施行されて、もう25年以上運用されています。
公的な保険、ということは国が運営しているんですか?
運営しているのは各市区町村です。国・都道府県と連携しながら地域ごとに動いています。40歳以上のみなさんが毎月保険料を支払い、その積み立てを介護が必要な方のサービス費用に充てるしくみです。
- 施行: 2000年(平成12年)4月
- 運営主体: 市区町村(保険者)
- 対象: 40歳以上が加入、原則65歳以上が利用
- 財源: 加入者の保険料 + 国・都道府県・市区町村の公費(概ね半々)
誰が払って、誰が使えるか — 第1号・第2号被保険者の違い
保険料を払うのは何歳からなんでしょう?
40歳になった月から保険料の納付が始まります。ただし被保険者の区分が2つに分かれていて、年齢によって利用できる条件が異なります。
| 項目 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 65歳以上 | 40〜64歳 |
| 保険料の納付先 | 市区町村に直接(年金天引きまたは口座振替) | 加入する医療保険(健保・国保等)と一緒に |
| サービス利用の条件 | 要支援・要介護と認定されれば利用可 | 加齢が原因の特定疾病(16種類)による要介護認定が必要 |
| サービスの利用割合 | 原則1割(所得に応じ2・3割) | 原則1割(所得に応じ2・3割) |
※ 保険料の額は自治体ごとに異なります。
特定疾病、というのは?
40〜64歳の方が介護保険を使えるのは、加齢が原因とされる病気(特定疾病)が原因で要介護状態になった場合に限られます。がん(末期)、関節リウマチ、脳血管疾患(脳卒中等)、パーキンソン病など16種類が指定されています。
では交通事故や骨折でも使えないんですね。
そのとおりです。40〜64歳の事故や骨折は介護保険の対象外になります。65歳以上であれば、原因を問わず要介護認定を受けられます。
何にどう使えるか — サービスの大まかな分類
介護保険を使うと、どんなサービスが受けられるんですか? 施設に入ることだけですか?
いいえ、サービスは大きく3種類に分かれます。在宅サービス・通所サービス・入所(施設)サービスで、要介護度に応じて組み合わせて使えます。
| 分類 | 代表的なサービス | 特徴 |
|---|---|---|
| 在宅サービス | 訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴、訪問看護など | 自宅に居ながらサービスを受ける |
| 通所サービス | 通所介護(デイサービス)、通所リハビリなど | 日中だけ施設を利用して帰宅する |
| 入所サービス | 特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)など | 施設に入居してサービスを受ける |
※ 要介護度(要支援1〜2・要介護1〜5)によって利用できるサービスの種類や上限額が異なります。
施設に入ることだけじゃなくて、自宅に来てもらったり、日帰りで通ったりもできるんですね。
そうです。「できるだけ自宅で暮らし続けたい」というご本人の気持ちを大切にしながら、必要なサポートを組み合わせて使える点が、介護保険の大きな特徴です。サービスの詳しい種類や選び方は別の記事でくわしく説明しています。
自己負担はいくらか — 1〜3割負担と月額上限のしくみ
利用する側は全額払わなくていいんですよね? どのくらい自己負担になりますか?
サービス費用の原則1割が自己負担です。ただし所得が高い方は2割または3割の負担になります。
| 負担割合 | 対象となる方の目安 |
|---|---|
| 1割 | 所得が一定未満の65歳以上(大多数の方) |
| 2割 | 一定以上の所得がある65歳以上の方 |
| 3割 | 現役並みの所得がある65歳以上の方(単身で年収約383万円以上が目安) |
※ 自己負担割合は介護保険負担割合証に記載されています。40〜64歳(第2号被保険者)は原則1割です。
要介護度が上がるほどサービスを使う量も増えますよね。費用が膨らんだりしないか心配です。
そのための安全網が「高額介護サービス費」制度です。同じ月に支払った自己負担額が世帯の上限を超えた分は、後から払い戻されます。
- 住民税課税世帯(一般): 月44,400円
- 住民税非課税世帯(世帯全体): 月24,600円
- 前年の年金+所得が年80万円以下の方(個人): 月15,000円
- 上限を超えた分は市区町村から申請ベースで払い戻されます
払い戻しがあるなら安心ですね。でも毎月自動で戻るわけではないんですよね?
初回は申請が必要です。一度申請すると、その後は定期的に支給されます。市区町村から通知が来たら必ず確認してください。
どう使い始めるか — 介護保険の利用手順(申請の流れ)
実際に使いたいときは、どこに申請すればいいんですか?
申請窓口は住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。地域包括支援センターでも代行申請の相談ができます。
- ①申請: 市区町村窓口または地域包括支援センターに「要介護認定申請書」を提出
- ②訪問調査: 認定調査員が自宅等を訪問し、心身の状態を確認
- ③審査・判定: 主治医の意見書+訪問調査結果をもとに介護認定審査会が判定
- ④認定通知: 申請から原則30日以内に結果が郵送される
- ⑤ケアプラン作成: ケアマネジャーと相談してサービス計画を立てる
- ⑥サービス開始
30日で結果が出るんですね。それまでサービスは使えないんですか?
緊急性が高い場合は、認定前でも暫定的にサービスを利用できる場合があります。ただし認定結果によっては費用の扱いが変わることもあるため、事前に窓口に相談することをおすすめします。
ケアマネジャーというのは、誰が選ぶんですか?
ご本人・ご家族が選びます。地域包括支援センターや市区町村窓口に相談すると、地域の居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが在籍する事業所)を紹介してもらえます。ケアマネジャーへの報酬は介護保険から支払われるため、利用者の自己負担はかかりません。
まとめ — 介護保険を使う前に知っておきたいこと
全体像がだいぶわかりました。要点をまとめてもらえますか?
介護保険のポイントを整理すると、①40歳から保険料を納め、原則65歳以上が利用できる、②サービス費の原則1割が自己負担(所得に応じ2・3割)、③月額の自己負担に上限がある(高額介護サービス費)、④利用には要介護認定申請が必要で市区町村窓口へ、の4点です。
次は要介護認定の具体的な流れを知りたいですね。
「要介護認定の流れ」の記事では、訪問調査で何を見られるか、要介護度1〜5の違いは何かなどをくわしく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
- 介護保険負担割合証は毎年7月に更新されます。割合が変わることがあるため確認を
- 40〜64歳(第2号被保険者)が使えるのは特定疾病が原因の場合のみ
- 要介護認定は「更新申請」が必要で、認定期間が切れると自動継続されません
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護保険制度の解説」(令和7年7月版PDF) (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1390」(令和7年6月4日) (参照: 2026-06-20)