介護のはじまりガイド
要支援と要介護の違いは? — 1〜5の区分ごとに受けられるサービスと支給限度額
要介護認定の結果が届いた。「要支援2」「要介護1」——区分が出ても、「それで何が変わるの?」と戸惑う方は多いはずです。この記事では、要支援・要介護の制度上の違い、7つの区分ごとの状態像と支給限度額、受けられるサービスの差、そして「認定結果が実態と合っていない」と感じたときの対応策を整理します。
公開: 2026-06-20
「要支援」と「要介護」 — 制度上の大きな分かれ道
先日、母の要介護認定の結果が届きました。「要支援2」だったんですが……要支援と要介護って、そもそも何が違うんですか?
大事なポイントを聞いてくれました。要支援と要介護は、使えるサービスの体系と、誰がサービス計画を作るかが根本的に違います。名前が似ているので同じ制度の「軽い・重い」と思われがちですが、制度上は別の仕組みです。
別の仕組み、ですか?
はい。要支援の方が使うのは「介護予防サービス」、要介護の方が使うのは「介護給付サービス」です。目的も違って、要支援は「今より悪化しないよう予防する」こと、要介護は「日常生活を介護でサポートする」ことが中心になります。
サービス計画を作る人も違うって言っていましたよね?
そこが特に重要です。要支援の方のサービス計画(介護予防ケアプラン)を作るのは地域包括支援センター、要介護の方のケアプランを作るのは居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。認定区分が変わると、相談する窓口が変わることになります。
- 要支援1〜2: 介護予防サービスを利用。ケアプランは地域包括支援センターが作成
- 要介護1〜5: 介護給付サービス(訪問介護・デイサービス等)を利用。ケアプランは居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成
- どちらも費用の自己負担は原則1割(所得に応じ2・3割)
7つの区分の全体像 — 状態像の目安
認定区分は全部で7段階あるんですよね? 「非該当」というのも聞いたことがあります。
正確には「非該当(自立)」も含めると8段階です。ただし非該当は介護保険サービスを使えない区分なので、実際にサービスを受けられるのは要支援1〜2と要介護1〜5の7段階です。
| 区分 | 状態像の目安 |
|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自分でできる。家事や買い物など、一部の動作で支援があると安心 |
| 要支援2 | 基本的な動作はほぼ自分でできるが、立ち上がりや歩行で見守りが必要なことがある |
| 要介護1 | 日常生活に部分的な介助が必要。排泄・入浴の一部介助が必要、または認知機能の低下が見られる |
| 要介護2 | 排泄・入浴・移動に介助が必要。認知症の初期症状が出ている場合もある |
| 要介護3 | 排泄・入浴・移動でほぼ全介助が必要。認知症がさらに進行している状態 |
| 要介護4 | 食事や着替えにも介助が必要。寝たきりに近い状態、または重度の認知症 |
| 要介護5 | ほぼ寝たきりで、意思疎通が困難な場合が多い。日常生活全般で全介助が必要 |
※ 状態像はあくまで目安です。実際の認定は「要介護認定調査」と「主治医意見書」をもとに介護認定審査会が判定します。同じ区分でも個人差が大きく、介助の内容は異なります。
「要介護1」なのに「要支援2」に見える状態の人もいたりするんですか?
あります。認定は日常的な動作の状況(74項目の調査)と主治医意見書から機械的に一次判定が出て、そこに介護認定審査会が総合的に判断を加えます。身体の状況と判定区分が直感とずれることがあるのはそのためです。「実態と合っていない」と感じたときの対処は後の章でお伝えします。
区分ごとの支給限度額 — 1か月に使える上限額
要介護度によって、使える介護サービスの量も変わるんですよね?
そうです。1か月に介護保険サービスを利用できる上限額(区分支給限度基準額)が区分ごとに定められています。この上限内であれば、費用の原則1割(所得に応じ2〜3割)が自己負担で、残りが介護保険から支払われます。
| 区分 | 支給限度基準額(単位) | 目安の金額(1単位=10円換算) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約362,170円 |
※ 1単位あたりの金額は地域によって異なります(10円〜11.40円)。上記はあくまで1単位=10円での概算です。東京都心など地域加算がある地域では実際の限度額が高くなります。出典:厚生労働省告示(令和6年4月改定、令和7年度も引き続き同額)
上限を超えた分は、全額自己負担になるんですか?
はい。上限を超えた部分は10割(全額)が自己負担になります。ケアマネジャーはこの上限を意識しながらケアプランを立てるので、「上限いっぱいまで使わなければならない」わけではなく、必要なサービスを適切な量で利用することが基本です。
逆に、上限を使い切らなかった分は翌月に繰り越せたりするんですか?
繰り越しはできません。支給限度額はあくまで「その月に使える上限」です。使わなかった分は消えますが、ケアプランは毎月の状況に合わせて見直せるので、必要に応じてサービスの量を調整できます。
区分で変わるサービスの種類 — 介護予防系と介護給付系の違い
要支援と要介護では受けられるサービスも違うと聞きましたが、具体的にどう違うんですか?
主なサービスを比べると分かりやすいです。要支援の方が受ける介護予防サービスは、自立した生活を続けるための予防的な支援が中心です。一方、要介護の方の介護給付サービスは、日常の介助そのものを担います。
| サービスの種類 | 要支援1・2(介護予防系) | 要介護1〜5(介護給付系) |
|---|---|---|
| 訪問サービス | 介護予防訪問介護(総合事業) | 訪問介護(身体介護・生活援助)、訪問入浴介護、訪問看護 など |
| 通所サービス | 介護予防通所介護(総合事業)、介護予防通所リハビリ | 通所介護(デイサービス)、通所リハビリ など |
| 入所サービス | 短期入所生活介護(ショートステイ)※条件あり | 短期入所生活介護・療養介護(ショートステイ)、特別養護老人ホーム(特養) など |
| 福祉用具 | 介護予防福祉用具貸与(対象品目は限定的) | 福祉用具貸与(電動ベッド・車いす等)、特定福祉用具販売 |
| 住宅改修 | 介護予防住宅改修(上限20万円) | 住宅改修(上限20万円) |
※ 要支援の訪問介護・通所介護の多くは、2017年以降に市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」へ移行しています。サービスの内容は市区町村によって異なる場合があります。
特別養護老人ホーム(特養)は要介護でないと入れないんですか?
原則として要介護3以上でないと特養への入所申込みができません。要介護1・2の方は、有料老人ホームやグループホームなど別の選択肢を探すことになります。区分が上がるにつれて、選べる施設の幅も広がります。
認定区分が実態と違うと感じたら — 区分変更申請と不服申立て
もし「要支援2と認定されたけど、実態は要介護1じゃないか」と感じたら、どうすればいいんですか?
2つの方法があります。「区分変更申請」と「不服申立て(審査請求)」です。状況によって使い分けてください。
- 区分変更申請: 認定後に状態が悪化した、または当初の認定が軽すぎると思う場合。市区町村の窓口に「要介護認定区分変更申請書」を提出し、再調査を受ける。認定期間中でも申請可能
- 不服申立て(審査請求): 認定処分の内容に納得できない場合。認定通知を受け取った日の翌日から3か月以内に都道府県の介護保険審査会に申し立てる
- どちらが適切か迷う場合は、まず地域包括支援センターやケアマネジャーに相談を
区分変更申請は誰でも出せるんですか?
ご本人または家族が申請できます。調査日の体調や環境によって結果が左右されることもあるため、「調査当日の様子」と「普段の様子」の違いを具体的にメモしておくと、調査員に伝えやすくなります。特に認知症の方は、調査当日だけ受け答えがしっかりしている場合があるので、家族の証言が重要になります。
なるほど。逆に、認定区分が重すぎる場合も変更できますか?
もちろんできます。リハビリで状態が改善された場合なども、軽い区分への変更申請が可能です。状態の変化に合わせてこまめに見直すことが、サービスを適切に使うコツです。
まとめ — 認定区分が出たら、次の一歩
区分の違いと支給限度額、やっとわかってきました。認定結果が届いたら、まず何をすればいいですか?
要支援の認定が出たら地域包括支援センターに連絡し、介護予防ケアプランを作ってもらいましょう。要介護の認定が出たら居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)を選んでケアプランを依頼します。どちらも窓口がわからなければ、市区町村の介護保険担当課か地域包括支援センターに「何をすればいいか」と聞けば案内してもらえます。
ケアマネジャーへの費用はかかりますか?
ケアプランの作成と管理費(居宅介護支援費)は全額が介護保険から支払われます。利用者の自己負担はありません。遠慮なく相談していただいて大丈夫です。認定区分はゴールではなく、本人に合ったサービスを組み立てるためのスタートラインです。
- 要支援1〜2 → 地域包括支援センターに連絡してケアプラン作成を依頼
- 要介護1〜5 → 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)を選んで契約・ケアプラン作成
- 区分が実態と合わないと感じたら → 市区町村窓口に区分変更申請または審査請求
- 認定は有効期間があります(初回は原則6か月、更新は原則12か月)。期限前に更新申請を忘れずに
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「介護保険制度の解説」(令和7年7月版PDF) (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(区分支給限度基準額) (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「要介護認定に係る法令」 (参照: 2026-06-20)