介護のはじまりガイド

「介護が必要かも」と思ったら最初にやる 3 ステップ — 観察・共有・相談の進め方

親の変化に気づいた瞬間、多くの家族はいきなり「病院」「施設」を探し始めがちです。でも、その前にやっておくべき3つのステップがあります。観察 → 共有 → 相談 の順で動くと、後の選択肢が広がり、家族間でもめにくくなります。

公開: 2026-06-20

3 ステップの全体像 — なぜこの順番なのか

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

前の記事で母の変化のサインに気づいたんですが、次に何をすればいいか分からなくて。すぐに病院に連れて行くべきでしょうか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

気持ちはわかります。でも実は、病院や施設を考えるより前に 3 つのステップ を踏んでおくと、その後の動きがずっとスムーズになります。

介護着手の 3 ステップ
  • ステップ 1: 観察と記録 — 数週間、本人の変化を具体的にメモする
  • ステップ 2: 家族と情報共有 — 兄弟・配偶者と現状をすり合わせる
  • ステップ 3: 地域包括支援センターに電話 — 病院・施設より先に、無料の総合窓口に状況を話す
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

順番がある、ということですね。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

そうです。順番を飛ばすと、たとえばいきなり病院に行っても「何を相談したらいいか分からない」、施設を見に行っても「家族で意見が割れる」という壁にぶつかります。観察 → 共有 → 相談 の順で土台を作ってから動くと、後の判断が早く・正確になります。

ステップ 1: 観察と記録 — 数週間、変化をメモする

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

最初のステップは 観察と記録。本人を責めたり指摘したりせず、変化を具体的にメモするだけです。期間の目安は 2〜4 週間

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

なぜ記録が必要なんですか? 頭の中で覚えておくのではダメですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

記録は 2 つの場面で武器になります。1 つは家族と話し合う時、2 つ目は地域包括や医師に相談する時。「最近ちょっと変」では伝わりませんが、「6 月 5 日に同じ豆腐を 3 つ買ってきた」「6 月 12 日に冷蔵庫に賞味期限切れが 5 個」と具体的にメモがあると、相手はすぐに状況を把握できます。

メモする項目 (スマホのメモ or 紙でOK)
  • 日付 + 気になった出来事 (1行でOK)
  • 頻度 — 同じことが繰り返されていれば「○回目」と書く
  • 本人の反応 — 自覚があるか、ないか
  • 家族の対応 — どう対応したか、それでどうなったか
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

本人に「メモしてる」って言わない方がいいですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

言わない方がいいです。本人は自分の変化に気づいていないか、薄々気づいていても認めたくない段階のことが多いです。「見張られている」と感じさせると関係がぎくしゃくします。記録はあくまで家族・専門職への共有素材として、静かに残してください。

ステップ 2: 家族と情報共有 — 一人で抱えない

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

2 つ目のステップは 家族間の情報共有。兄弟・配偶者・本人のパートナーなど、介護に関わる可能性のある人に 早めに 状況を伝えます。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

弟は遠方に住んでいて、母とはあまり連絡を取っていません。それでも共有した方がいいですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

はい、特に 遠方の家族こそ早めに伝えてください。理由は 2 つあって、(1) 後から「聞いてない、勝手に決めるな」というトラブルが一番多いのがこの場面、(2) 遠方家族でも金銭・手続き面で関われることがあり、近くにいる人が一人で背負う必要を減らせるからです。

共有のときに伝えるべき 3 点
  • 事実 (記録ベース) — 「最近こういうことが起きている」を具体的に。判断・解釈は混ぜない
  • まだ決まっていないこと — 「これからどうするか相談したい」と明示。結論を先に出さない
  • 次のステップ — 「地域包括支援センターに電話するところから始めようと思う」と方針だけ共有
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

結論を出さないで共有、ですね。私、つい「もう施設しかないと思う」って言ってしまいそう……。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

そこは 意識的に止めてください。介護は長く続く話で、最初の家族会議で出た結論が後で覆ることが多いです。「これから一緒に考えたい」のスタンスで共有しておくと、後から方針が変わっても兄弟関係に角が立ちません。

ステップ 3: 地域包括支援センターに電話する

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

3 つ目のステップは 地域包括支援センターに電話する。ここまでで蓄えた「記録」と「家族の共有」を持って、無料の総合相談窓口に状況を話します。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

病院やケアマネさんに直接連絡するのは違うんですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

違います。地域包括支援センターが「最初の窓口」で、そこから先に「次は病院」「次はケアマネ依頼」「次は要介護認定の申請」と、ご家族の状況に応じた次のアクションを案内してくれます。順序を間違えると、たとえばケアマネさんに直接連絡しても要介護認定が無いと動けない、という空回りが起きます。

電話で伝えるべきこと
  • 本人の名前と居住地 (市区町村) — 担当エリアの確認のため
  • 気になっている変化の具体例 — ステップ1の記録を見ながら
  • 家族構成と相談している人 — 共有相手、主たる介護者になりそうな人
  • 知りたいこと — 「何から始めればいいか」でOK。具体的な質問が無くても受け付けてくれる
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

電話で全部話すのは緊張します……。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

大丈夫です。「相談員さんに状況を整理してもらう」くらいの気持ちで電話して問題ありません。地域包括の職員は、こうした最初の相談を毎日受けています。話の途中で詰まっても、向こうから「こういうことですか?」と聞いてくれます。電話が苦手な方は、市区町村の介護保険課窓口に直接出向く方法もあります。

やってはいけないこと — よくある先走りのパターン

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

逆に、最初にやってしまいがちで避けるべきことはありますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

3 つあります。これらは焦って動くと一気にやってしまいがちですが、後で家族関係や本人の意欲に悪影響が出ます。

最初にやってはいけない 3 つの先走り
  • 本人に「介護が必要だから」と直接言ってしまう — 本人がまだ受け入れていない段階では拒否反応を引き起こし、その後の協力が得られなくなります
  • 家族に相談する前に施設見学を予約する — 「勝手に進めた」と兄弟間の溝になります。見学はステップ 3 のあと
  • ネットの情報だけで「これは認知症だ」と決めつける — 医学的診断は医師の役割。家族の判断は 「専門機関に相談する必要があるか」 までで止めておく
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

……私、ネットで症状を調べて勝手に結論を出しそうになっていました。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

それは普通の反応です。不安だから情報を集めて、なんとか自分で答えを出したくなるんです。でも介護の入口では 判断を自分で抱え込まないこと が一番大切。3 ステップを順に踏めば、適切な専門家に判断を委ねる流れに自然と乗れます。

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出典