介護のはじまりガイド
ショートステイとは? — 在宅介護者の「息抜き」として活用する方法
「介護者が体調を崩したとき、一時的に親を施設に預けられるの?」——そんな不安を抱えながら在宅介護を続けているご家族は少なくありません。ショートステイ(短期入所サービス)は、介護者が休息を取るための「レスパイト」として設計されたサービスです。この記事では、ショートステイの2種類の違い・利用できる日数のルール・費用の目安・予約のコツを整理してお伝えします。
公開: 2026-06-20
ショートステイとは — 一時的に施設に泊まる短期入所サービス
「ショートステイ」という言葉は聞いたことがあるんですが、どんなサービスなんでしょうか? 介護保険で使えるんですか?
ショートステイは、正式には「短期入所生活介護」といいます。要介護1〜5の認定を受けた方が、特別養護老人ホームなどの施設に短期間宿泊して、食事・入浴・排泄介助などの生活介護と機能訓練を受けられるサービスです。介護保険が適用されますので、費用の大部分を保険でまかなえます。
介護者である私が病気になったとき、使えますか?
はい、使えます。ショートステイは「介護者の休息(レスパイト)」が主要な目的のひとつです。介護者の病気・冠婚葬祭・仕事の都合などで一時的に自宅介護が難しくなった場合、また本人の心身の状況の変化でショートケアが必要と判断された場合などに利用できます。「介護疲れを一時的に解消したい」という理由でも使えます。
- 正式名称: 短期入所生活介護(医療ケアが必要な場合は「短期入所療養介護」)
- 対象: 要介護1〜5の方(要支援1・2は「介護予防短期入所生活介護」という別系統)
- 連続利用: 原則30日以内(31日目以降は全額自己負担)
- 介護者が休息を取るためのレスパイト目的でも利用できます
2種類の違い — 生活介護型と療養介護型(医療型)
「短期入所療養介護」というのも聞きました。ショートステイと何が違うんでしょうか?
短期入所サービスには2種類あります。「短期入所生活介護(ショートステイ)」と「短期入所療養介護(ショートケア、医療型)」です。大きな違いは施設の種類と、医療ケアへの対応力です。
| サービス名 | 主な施設 | 特徴・内容 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 短期入所生活介護(ショートステイ) | 特別養護老人ホーム(特養)・短期入所生活介護専用施設など | 日常生活の介護(食事・入浴・排泄介助)と機能訓練が中心。看護師の配置は施設によって異なる | 介護者のレスパイト目的・医療処置が不要な方・日常生活の介護が中心の方 |
| 短期入所療養介護(ショートケア・医療型) | 老人保健施設(老健)・介護医療院・療養病床を持つ病院・診療所など | 看護師が常駐し医療的ケア(点滴・経管栄養・吸引など)やリハビリに対応。医療管理が充実 | 退院直後でリハビリが必要な方・医療処置・医療的管理が継続して必要な方 |
※ いずれも介護保険の区分支給限度基準額の範囲内で利用できます。「ショートステイ」という呼称は短期入所生活介護を指すことが多いですが、療養介護型も同じ「短期入所」の区分です。
胃ろうをしている父の場合は、医療型の方が安心ですか?
胃ろう(経管栄養)や吸引が必要な方は、医療スタッフが常駐する短期入所療養介護(老健や介護医療院)の方が対応しやすいケースが多いです。ただし、一部の短期入所生活介護(特養)でも医療的ケアに対応している施設があります。ケアマネジャーに「お父さんの医療ニーズ」を伝えたうえで、施設に個別確認することをおすすめします。
普段はデイサービスに通っている場合でも、ショートステイは使えますか?
できます。支給限度基準額の範囲内であれば、訪問・通所・短期入所を自由に組み合わせられます。「平日はデイサービス、介護者の繁忙期だけショートステイ」という使い方はよくあるパターンです。
利用日数のルール — 連続30日と「半数ルール」
ショートステイは何日くらい使えるんですか? 期間に制限はありますか?
2つのルールを覚えておいてください。①連続利用は原則30日以内、②要介護認定の有効期間の日数の半数を超えることはできない、という2点です。
- 連続30日ルール: 同一の事業所を連続して利用できるのは原則30日以内。31日目以降は介護保険が適用されず全額自己負担になります
- 半数ルール: 要介護認定の有効期間(例: 12ヶ月=365日)の半数(182日)を超える利用は原則として認められません。短期入所サービスは「一時的な利用」を前提としています
- 複数の事業所を使う場合: 事業所を変えても長期連続利用として扱われる場合があります。30日を超える利用や長期化が見込まれる場合は、ケアマネジャーと保険者に事前確認してください
認定有効期間が12ヶ月なら、1年間に最大で何日使えるんですか?
認定有効期間12ヶ月(365日)の場合、短期入所の保険適用日数は最大182日が目安です(365日の半数)。ただし、支給限度基準額の範囲内に収める必要もあります。たとえば要介護3の1ヶ月の支給限度基準額は27,048単位ですが、毎日ショートステイを使うとすぐに上限に達します。ケアマネジャーと月ごとの計画を立てながら使うのが現実的です。
短い泊数を何度も繰り返し使うこともできますか?
できます。「月に1回・3〜4泊」「年に数回・7泊ずつ」など、介護者の休息スケジュールに合わせて柔軟に使い方を設計できます。ケアマネジャーが支給限度基準額の範囲でプランに組み込んでくれます。
料金の目安 — 要介護度別の自己負担と実費
ショートステイの費用はどのくらいかかりますか?
介護報酬(保険分)と実費の2本立てです。介護報酬部分は要介護度と施設の種類によって決まる単位数で計算し、1単位=10円(基本)の自己負担1〜3割を払います。さらに食費・居住費(滞在費)・日用品費などの実費が別途かかります。
| 要介護度 | 1日あたり単位数(目安) | 自己負担の目安(1割・1単位10円) |
|---|---|---|
| 要介護1 | 645単位 | 約645円/日 |
| 要介護2 | 715単位 | 約715円/日 |
| 要介護3 | 787単位 | 約787円/日 |
| 要介護4 | 856単位 | 約856円/日 |
| 要介護5 | 926単位 | 約926円/日 |
※ 令和6年度介護報酬改定、併設型・多床室(最もスタンダードな区分)の基本報酬です。単独型やユニット型個室は別料金(高くなります)。地域区分加算や各種サービス加算により実際の金額は異なります。自己負担は原則1割、所得に応じて2〜3割。出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
介護報酬以外に、どんな費用がかかるんでしょうか?
主に4種類の実費がかかります。食費・居住費(滞在費)・日用品費・おむつ代です。これらは介護保険の対象外のため、全額自己負担になります。
- 食費: 1日1,445円(令和6年8月〜の標準負担額・第4段階の場合。低所得世帯は「負担限度額認定証」で軽減されます)
- 居住費(滞在費): 多床室は1日915円、ユニット型個室は1日2,066円が標準(令和6年8月〜・第4段階の場合。低所得世帯は軽減あり)
- 日用品費: 施設によって異なる(タオル・シャンプー等の実費)
- おむつ代: 持参するか施設で用意するか事前に確認を
「負担限度額認定証」というのはどうすれば受けられますか?
市区町村の介護保険担当窓口に申請することで受けられます。世帯全員が市町村民税非課税であるなど、所得・資産の要件があります。認定証があると、食費・居住費の自己負担額が軽減されます。7泊程度のショートステイでも軽減効果は大きいので、対象になりそうな場合はケアマネジャーに相談してみてください。
申し込みの流れと予約のコツ
ショートステイを使うには、どうやって申し込めばいいんですか?
担当ケアマネジャーを通じて手続きするのが基本です。直接施設に電話して「空きがあるか」を確認することもできますが、介護保険の適用には必ずケアプランへの組み込みが必要です。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①ケアマネジャーに相談 | 「いつ頃・何泊・どんな理由で使いたいか」を伝える | 利用希望日の1〜2ヶ月前には相談開始を |
| ②施設を選ぶ | ケアマネジャーが候補を紹介、または「介護サービス情報公表システム」で検索 | 医療ニーズ・好みの環境(多床室か個室か)を伝えると絞りやすい |
| ③空き状況を確認・予約 | ケアマネジャーまたは家族が施設に直接連絡して予約 | 繁忙期(盆・年末年始・GW)は数ヶ月前から予約が埋まる |
| ④ケアプランに組み込む | ケアマネジャーが短期入所をプランに追加 | 急な利用の場合もケアマネジャーに連絡を。対応してくれます |
| ⑤施設と契約・事前確認 | 施設と利用契約を結び、薬の管理・持ち物・緊急連絡先などを確認 | 持参物リストを施設に確認。おむつや着替えの準備 |
| ⑥利用開始 | 送迎があれば施設送迎を利用。なければ家族が送り届ける | 初回利用の場合は当日の状態を施設スタッフに詳しく申し送りする |
※ 緊急利用(介護者の急病など)の場合はケアマネジャーにすぐ連絡を。緊急ショートステイとして対応してくれる施設もあります。
- お盆(8月中旬)・年末年始・GWはショートステイの予約が集中します。数ヶ月前から埋まり始める施設も多く、直前では取れないことがほとんどです
- 定期的に使っている方は「定期ショートステイ」として毎月同じ曜日で押さえておく方法が有効です。ケアマネジャーに相談を
- 緊急時に備えて、平常時から複数の施設の空き状況をケアマネジャーに把握しておいてもらうと安心です
初めて利用する前に、見学はできますか?
できます。ほとんどの施設で事前見学を受け付けています。実際に施設の雰囲気・スタッフの対応・食事の内容などを確認してから契約するのがおすすめです。本人が初めての場所で不安にならないよう、事前に「どんな場所か」を一緒に見ておくだけでも違います。
在宅介護を長く続けるためのショートステイ活用術
ショートステイを使うことに、少し後ろめたさを感じてしまって……。本人が「施設に預けられた」と思わないか心配です。
そのお気持ちはよくわかります。でも視点を変えてみてください。介護者が疲弊してしまうと、在宅介護そのものが続かなくなります。ショートステイは「休息を取りながら介護を続けるための手段」です。介護者が元気でいることが、本人にとっても一番のケアにつながります。
本人が「行きたくない」と言った場合はどうすれば?
最初は不安を感じる方も多いです。事前見学で雰囲気を知っておく、好きな趣味グッズや使い慣れた枕を持参するなど、「自分の空間」を少し持ち込むだけで安心感が変わることがあります。慣れてくると「デイサービスと同じ感覚」で過ごせるようになる方も少なくありません。
上手に活用するコツをまとめてもらえますか?
ポイントは3つです。①定期的に使う習慣をつける(緊急時だけでなく、月1回のペースで使うと本人も慣れやすい)、②繁忙期の予約は早めに(盆・年末は数ヶ月前から)、③複数の施設に慣れておく(一か所しか知らないと空きがないときに困ります)。ケアマネジャーと連携しながら「計画的レスパイト」の仕組みを作りましょう。
- 要支援でも使える?: 要支援1・2の方は「介護予防短期入所生活介護(介護予防ショートステイ)」として利用できます。日数・内容に一部制限があります。市区町村や地域包括支援センターに確認を
- 施設の食事制限は相談できる?: 糖尿病・腎臓病など食事制限がある場合は、事前に施設に伝えることで対応してもらえることが多いです。必ず事前確認を
- 送迎はある?: 多くの施設で送迎サービスを提供していますが、距離や対応エリアの制限があります。利用前に確認を
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「短期入所生活介護」サービス概要 (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」 (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し」 (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「介護保険制度をめぐる状況について」(令和7年1月) (参照: 2026-06-21)