介護のはじまりガイド

在宅介護サービスの種類一覧 — 訪問・通所・短期入所を比較

「在宅で介護を続けたいけど、どんなサービスがあるかわからない」——そんな疑問をお持ちの方は多いはずです。介護保険の在宅サービスは、大きく3つに分けられます。ヘルパーが自宅に来る「訪問サービス」、日中だけ施設に通う「通所サービス」、一時的に施設に泊まる「短期入所サービス」です。この記事では、それぞれの特徴と主なサービスを整理し、道具・環境を整える福祉用具・住宅改修もあわせて解説します。

公開: 2026-06-20

在宅介護サービスとは — 自宅で暮らしながら受けるサービス

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

父が先日、要介護2の認定を受けました。施設に入れることは今は考えていないんですが、自宅にいながらどんなサービスが使えるんでしょうか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

介護保険の居宅サービス(在宅で受けられるサービス)は、大きく3つの柱に分けて考えると整理しやすいです。①家に来てもらう「訪問サービス」、②本人が通う「通所サービス」、③一時的に泊まる「短期入所サービス」です。さらに④道具・環境を整える「福祉用具・住宅改修」もあります。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

こんなにいろいろあるんですね。全部を同時に使えるんですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

要介護度ごとに決まっている「区分支給限度基準額」の範囲内であれば、複数のサービスを組み合わせて使えます。「月に何回ヘルパーに来てもらいながら、週2回デイサービスに通う」といった組み合わせが一般的です。具体的な組み合わせはケアマネジャーが提案してくれます。

在宅介護サービスの4つの柱
  • ① 訪問サービス: ヘルパーや看護師などが自宅に来てサポート(訪問介護・訪問看護・訪問入浴・訪問リハビリ)
  • ② 通所サービス: 本人が日中だけ施設に通う(デイサービス・デイケア・認知症対応型)
  • ③ 短期入所サービス: 一時的に施設に泊まる(ショートステイ・短期入所療養介護)
  • ④ 福祉用具・住宅改修: 道具のレンタルや自宅のバリアフリー工事

訪問サービス — ヘルパーや看護師が自宅に来る

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

「訪問介護」と「訪問看護」って、どう違うんでしょうか? 同じように自宅に来てもらうサービスですよね?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

大きな違いは誰が来るかです。訪問介護はホームヘルパー(介護福祉士や初任者研修修了者など)が来て日常生活の支援をします。訪問看護は看護師や理学療法士などが来て、医療的なケアやリハビリを行います。医師の指示書が必要な点が訪問看護の特徴です。

主な訪問サービスの比較
サービス名誰が来るか主な内容対象
訪問介護(ホームヘルプ)ホームヘルパー身体介護(入浴・排泄・移動介助など)と生活援助(掃除・洗濯・調理など)要介護1〜5
訪問看護看護師・准看護師・理学療法士など健康観察、医療的処置、服薬管理、リハビリ(医師の指示書が必要)要支援1・2、要介護1〜5
訪問入浴介護看護職員1名+介護職員2名(計3名)専用の浴槽を持参して自宅で入浴介助。全身浴が困難な方に要介護1〜5(要支援は介護予防訪問入浴介護)
訪問リハビリテーション理学療法士・作業療法士・言語聴覚士自宅での個別リハビリ。病院・診療所・老健からの派遣(医師の指示書が必要)要介護1〜5

※ 要支援1・2の方は「介護予防」を冠したサービス名となり、内容や回数に制限がある場合があります。訪問看護は要支援も利用可能です。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

訪問介護の「身体介護」と「生活援助」は料金が違うんですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

はい、区別されています。身体介護は入浴・排泄・移動など体に直接触れる介助で、生活援助は掃除・洗濯・調理など家事のサポートです。身体介護の方が介護報酬の単価は高くなります。また、ひとり暮らしや同居家族が高齢・障害などで家事が困難な場合でないと、生活援助は原則として使えないルールになっています。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

訪問入浴介護は、3人で来るんですね。なぜそんなに人数が必要なんでしょう?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

浴槽を運び込む作業と、安全に入浴介助をする作業が同時に必要になるためです。専用の折りたたみ式の浴槽と給湯設備を持参して、自宅のどこでも浴槽を設置できる点が特徴です。「自宅の浴室が狭い」「ひとりでは到底入浴させられない」という重度の方に向いています。

通所サービス — 日中だけ施設に通う

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

「デイサービス」と「デイケア」って、どちらも日中に施設に通うサービスですよね? 違いはどこにあるんでしょう?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

大事な違いです。デイサービス(通所介護)は介護施設、デイケア(通所リハビリ)は医療系施設が運営しています。デイサービスは日常的な介護と社会参加が目的で、デイケアはリハビリが中心です。主治医が「リハビリが必要」と判断した場合にデイケアが選択肢になります。

主な通所サービスの比較
サービス名運営主体の特徴主な目的・内容対象
通所介護(デイサービス)通所介護事業所(介護系)入浴・食事・排泄介助、機能訓練、レクリエーション、社会参加支援要介護1〜5
通所リハビリテーション(デイケア)老健・病院・診療所(医療系)個別リハビリ(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)、日常動作の回復訓練(医師の指示が必要)要介護1〜5
認知症対応型通所介護専門型の通所介護事業所認知症(認知症の診断がある方)に特化した少人数のケア(定員12名以下)要介護1〜5(認知症の診断がある方)

※ 要支援1・2の方は総合事業の「介護予防通所介護相当サービス」や「介護予防通所リハビリテーション」を利用します。内容は市区町村によって異なります。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

デイサービスに通ってもらうのは、本人だけでなく介護する家族にとっても休める時間になりますよね。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

まさにそのとおりで、介護者の休息(レスパイト)という重要な役割もあります。24時間介護を担う家族が、デイサービスを通じて自分の時間を確保することで、介護が長く続けられるようになります。本人が「外に出て人と交わる機会」を持つことも、認知機能の維持や生活リズムの安定につながります。

短期入所サービス — 一時的に施設に泊まる

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

「ショートステイ」を使いたいと思っているんですが、介護者が病気になったときも使えますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

はい、使えます。ショートステイ(短期入所生活介護)は、本人の心身の状況や介護者の病気・冠婚葬祭・仕事などの理由で一時的に施設に泊まるサービスです。特別養護老人ホームなどの施設に原則として連続30日以内で宿泊できます。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

「短期入所療養介護」というのも聞いたことがあります。ショートステイと何が違うんですか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

2種類を比べると分かりやすいです。

短期入所サービスの比較
サービス名主な施設特徴向いている方
短期入所生活介護(ショートステイ)特別養護老人ホーム・短期入所生活介護専用施設など日常生活の介護と機能訓練が中心。食事・入浴・排泄介助などを提供介護が一時的に難しくなったとき。介護者のレスパイト
短期入所療養介護老人保健施設(老健)・介護療養型医療施設など医療的ケアが充実(看護師が常駐)。リハビリや医療処置が必要な方に対応退院後のリハビリ継続、医療的管理が必要な方

※ いずれも介護保険の区分支給限度基準額の範囲内で利用できます。連続して利用できる日数は原則30日以内と定められています。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

ショートステイを使いながら、普段はデイサービスにも通うことはできますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

できます。支給限度基準額の範囲内であれば、訪問・通所・短期入所を自由に組み合わせられます。たとえば「平日はデイサービスに通い、介護者が仕事の繁忙期だけショートステイを利用する」という使い方が可能です。組み合わせはケアマネジャーと相談しながら決めましょう。

福祉用具・住宅改修 — 道具と環境を整える

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

車いすや介護ベッドは、介護保険でレンタルできると聞いたんですが?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

はい、福祉用具貸与として介護保険が適用されます。13種目の品目がレンタル対象となっており、費用の原則1割(所得に応じ2・3割)の自己負担で借りられます。

福祉用具貸与の主な対象品目(13種目)
分類主な品目
移動支援車椅子(付属品含む)、歩行器、歩行補助杖(一本杖を除く)
姿勢・体位特殊寝台(電動ベッド)と付属品、床ずれ防止用具、体位変換器
認知症・転倒防止徘徊感知機器、移動用リフト(つり具を除く)
入浴・排泄自動排泄処理装置(外出対応型は除く)
その他手すり(工事不要タイプ)、スロープ(工事不要タイプ)、認知症老人徘徊感知機器

※ 要支援1〜2・要介護1の方は、一部品目(特殊寝台・床ずれ防止用具など)は原則としてレンタルできません(例外規定あり)。出典:厚生労働省「居宅サービス等の種類」

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

購入するものもありますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

あります。衛生面や使用後の変形があるものは、レンタルではなく「特定福祉用具販売」として購入費の支給が受けられます。入浴補助用具(シャワーチェアなど)・簡易浴槽・移動用リフトの吊り具・排泄予測支援機器・自動排泄処理装置の交換部品などが対象で、年間10万円を上限に費用の原則1割が自己負担です。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

自宅の改修も介護保険で費用が出ますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

はい、住宅改修費として1人あたり20万円を上限に支給されます(工事完了後の払い戻し方式で、原則として事前申請が必要です)。自己負担は1割の場合で2万円、2割の場合は4万円、3割の場合は6万円となり、残りが保険から支給されます。

介護保険住宅改修費の対象工事(6種類)
  • 手すりの取り付け: 廊下・トイレ・浴室・玄関など(工事を伴うもの)
  • 段差の解消: 敷居の段差解消、スロープ設置など
  • 床材の変更: 滑り防止のための床材・通路面の素材変更
  • 扉の取り替え: 引き戸・折り戸・アコーディオンカーテンなどへの変更(開き戸→引き戸など)
  • 洋式便器への取り替え: 和式便器から洋式便器への変更(付帯する給排水工事含む)
  • 付帯工事: 上記の工事に伴い必要となる工事(壁の補強・下地工事など)

どう組み合わせるか — ケアマネと相談して選ぶ

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

サービスの種類はわかったんですが、実際に「どれを使うか」はどうやって決めればいいんでしょう?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

ケアマネジャー(介護支援専門員)が中心になって組み合わせを提案してくれます。ケアマネジャーは「ケアプラン(居宅サービス計画)」を作成する専門職で、本人の状態・家族の生活スタイル・支給限度基準額のバランスを考えながら、最適なプランを組み立てます。ケアプラン作成の費用は全額が介護保険から支払われるので、利用者の自己負担はありません。

佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

ケアマネジャーを選ぶ段階でも、何か基準はありますか?

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

「居宅介護支援事業所」に所属するケアマネジャーを自分で選びます。地域包括支援センターや市区町村窓口に相談すると、近隣の事業所リストを教えてもらえます。得意な疾患・在宅・施設の経験・相性なども選ぶポイントです。担当のケアマネと合わなければ変更もできます。

サービス利用を始めるまでの流れ(在宅の場合)
  • 要介護認定の申請: 市区町村窓口または地域包括支援センターへ
  • 認定結果を受け取る: 申請から原則30日以内に結果通知
  • ケアマネジャーを選ぶ: 居宅介護支援事業所に依頼(費用は介護保険から全額支払い、自己負担なし)
  • ケアプランを作成: 本人・家族・ケアマネで希望するサービスの組み合わせを検討
  • 各サービス事業所と契約: ケアプランに沿って事業所と直接契約
  • サービス開始: 利用開始後もケアプランは定期的に見直せる
佐藤 ゆみこ(親の介護を検討中の家族)
佐藤 ゆみこ
親の介護を検討中の家族

よくわかりました。まずは要介護認定を取って、ケアマネジャーに相談するところから始めればいいんですね。

林 ちあき(まちの介護施設 編集部)
林 ちあき
まちの介護施設 編集部

そのとおりです。認定が出ていれば、今すぐでも始められます。「何からどのくらい使いたいか」の希望はざっくりで大丈夫です。ケアマネジャーが現状をヒアリングして、支給限度基準額の範囲内でプランを組んでくれます。まずは1つのサービスから試してみることも大切です。

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出典