介護のはじまりガイド
訪問介護(ホームヘルパー)とは? — サービス内容・費用・申し込み方法
「ヘルパーに来てもらいたい」と考えるとき、最初に気になるのは「何をしてもらえるの?」「費用はいくら?」という点ではないでしょうか。訪問介護は在宅介護で最も利用されるサービスの一つですが、「頼んでいいこと・悪いこと」の境界線がわかりにくく、トラブルになるケースも少なくありません。この記事では、サービスの内容・料金・申し込みの流れを整理してお伝えします。
公開: 2026-06-20
訪問介護とは — ヘルパーが自宅に来てくれるサービス
最近、父の一人暮らしが心配になってきました。掃除や食事の準備が難しくなってきているようで、ヘルパーさんに来てもらう「訪問介護」を検討しています。そもそも訪問介護って、どんなサービスなんですか?
訪問介護は、介護福祉士や初任者研修(旧ホームヘルパー2級)修了者などのヘルパーが自宅を訪問し、日常生活のサポートをするサービスです。介護保険が適用されるため、費用の大部分を保険でまかなえます。
誰でも使えるんですか? 要介護の認定を受けていないといけないのでしょうか?
介護保険の訪問介護を使うには、要介護1〜5の認定を受けていることが必要です。要支援1・2の方は「介護予防訪問サービス」という別系統になります。要介護認定をまだ受けていない場合は、まず市区町村の窓口に申請するところから始めましょう。
- 正式名称: 訪問介護(ホームヘルプサービス)
- 対象: 要介護1〜5の認定を受けた方(要支援は介護予防訪問サービスが別系統)
- 担い手: 介護福祉士・初任者研修修了者・生活援助従事者研修修了者など
- 運営: 訪問介護事業所(ケアマネジャーが紹介してくれます)
サービスの2大分類 — 「生活援助」と「身体介護」の違い
ヘルパーさんに頼めることって、掃除や食事の準備だけですか? 入浴の介助なども含まれるんでしょうか?
訪問介護のサービスは大きく「生活援助」と「身体介護」の2種類に分かれます。それぞれ提供できる内容と料金単位数が異なります。
| 区分 | 主な内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 生活援助 | 掃除・洗濯・調理・買い物代行・薬の受け取りなど | 日常生活の家事全般。身体に直接触れる介助は含まない |
| 身体介護 | 食事介助・入浴介助・排泄介助・着替え・移動・体位変換・通院の付き添いなど | 本人の身体に直接触れるサポート全般 |
※ 同じ訪問時間内に生活援助と身体介護を組み合わせる「身体介護に伴う生活援助」という区分もあります。
なるほど。父の場合は掃除や食事の用意が主な心配なので、生活援助になるんですね。
そうですね。ただし、同居のご家族がいる場合、生活援助の利用は原則として制限があります。「家族が対応できない正当な理由」が必要で、ケアマネジャーとの事前の確認が欠かせません。一人暮らしのお父様であれば、問題なく使えます。
同居家族がいると使えないんですか? それは知りませんでした。
同居家族の障害・疾病などで家事が難しい場合や、やむを得ない事情がある場合は例外的に認められることがあります。単に「家族が忙しい」だけで使えるとは限らないため、判断はケアマネジャーや市区町村に確認し、まず状況を正直に伝えてください。
料金の目安 — 時間別の単位数と自己負担額
費用はどのくらいかかりますか? 「単位数」という言葉を聞いたんですが、実際にいくら払うのか、よくわからなくて……。
訪問介護の料金は、1単位=10円(基本)× 時間区分別の単位数で計算します。そこに地域ごとの加算が乗りますが、まず基本の単位数を見てみましょう。令和6年度の介護報酬改定後の単位数です。
| 区分 | 時間 | 単位数(目安) | 自己負担の目安(1割の場合) |
|---|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 163単位 | 約163円 |
| 身体介護 | 20〜30分未満 | 244単位 | 約244円 |
| 身体介護 | 30〜60分未満 | 387単位 | 約387円 |
| 身体介護 | 60分以上(以降30分ごとに) | 567単位+82単位/30分 | 約567円+82円/30分 |
| 生活援助 | 20〜45分未満 | 179単位 | 約179円 |
| 生活援助 | 45分以上 | 220単位 | 約220円 |
※ 1単位=10円(基本)で計算。地域区分(級地)や各種加算により実際の金額は異なります。自己負担は原則1割(所得に応じ2〜3割)です。
1回あたりの金額は意外と低いんですね。でも週に何回も使うと積み重なりますよね?
そのとおりです。たとえば週3回・1時間の身体介護を利用した場合、月12回×387単位=4,644単位、自己負担1割なら月約4,644円(地域加算前の概算)になります。ただし要介護度ごとに1か月に使える上限額(支給限度基準額)が決まっていますので、ケアプランを通じてうまく組み合わせることが大切です。
- 地域区分: 東京23区などは単価が高くなります(最大10.21円/単位)
- 早朝・夜間加算: 朝6〜8時・夜18〜22時は25%増、深夜は50%増
- 特定事業所加算: 一定の要件を満たす質の高い事業所は加算あり
- 初回加算: 新たにサービスを開始した月は200単位/回の加算あり
利用開始までの流れ — ケアプランへの組み込みから契約まで
実際に訪問介護を利用するには、どんな手順を踏めばいいんですか?
訪問介護を使うにはケアプランへの組み込みが必要です。単独で事業所に申し込むのではなく、ケアマネジャーを通じて手続きを進めます。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①要介護認定を受ける | 市区町村窓口または地域包括支援センターに申請→訪問調査→認定 | 認定が出るまで原則30日。まだの場合はここから |
| ②ケアマネジャーと相談 | 担当のケアマネジャーに「訪問介護を使いたい」と伝える | ケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターに相談 |
| ③ケアプランに組み込む | ケアマネジャーが訪問介護の頻度・内容をケアプランに記載 | サービス担当者会議で事業所も交えて内容を決める |
| ④事業所を選んで契約 | ケアマネジャーから事業所を紹介してもらい、直接契約する | 複数候補を比較することも可能。相性を重視して選ぼう |
| ⑤サービス開始 | 初回訪問でヘルパーと顔合わせ・確認後、定期サービス開始 | 最初の1〜2回で細かな要望や注意点を伝えることが大切 |
※ 緊急性が高い場合は、認定前でも暫定的にサービスを利用できることがあります。ケアマネジャーまたは窓口に相談してください。
事業所はケアマネジャーが決めるんですか? 自分で選ぶことはできますか?
ご自身で選べます。ケアマネジャーは複数の候補を紹介してくれますので、「女性ヘルパーを希望したい」「週末も対応できる事業所がいい」など希望を伝えてください。事業所との契約はご本人・家族と事業所の間で直接結ぶものです。
ヘルパーに頼めること・頼めないこと
以前、知人から「ヘルパーさんに庭の草むしりを頼んだら断られた」という話を聞きました。何が頼めて、何が頼めないのか、正直よくわからないんですが……。
訪問介護は「ご本人の日常生活の支援」が目的のサービスです。本人以外の家事や、日常生活の範囲を超える行為はサービスの対象外になります。よく誤解されるポイントをまとめますね。
- 本人以外の家事: 家族の食事や部屋の掃除、家族の洗濯はできません
- 日常生活の範囲を超える行為: 大掃除・窓拭き・庭の草むしり・植木の水やり・ペットの世話・来客対応はできません
- 医療行為: 服薬の医療的判断・医療器具のセット(吸引器の操作等)はできません。ただし服薬の「介助」(薬を手渡す等)はOK
- 同居家族がいる場合の生活援助: 「家族が対応できる状況」とみなされる場合は原則対象外(やむを得ない事情があれば相談可)
- 散歩の付き添いや話し相手だけ: 単なる見守りや話し相手を目的とした訪問はサービス対象外
できないことが結構ありますね。ペットの世話や家族の分の食事もできないとは、知らなかったです。
ご本人が必要とする最低限の家事に絞られている、と考えるとわかりやすいかもしれません。「本人の食事の準備」はできますが「家族全員分の夕食作り」はできない、という線引きです。「これはお願いできますか?」と遠慮なくケアマネジャーかヘルパーに確認するのが一番確実です。
確認するクセをつけた方がいいんですね。事前に相談すれば答えてもらえますか?
もちろんです。ケアマネジャーは「この場合はできる」「できないが代替案がある」という形で丁寧に答えてくれます。曖昧なままにしておくと、当日ヘルパーが断ることになり、双方が困ります。契約前に具体的な「困りごと」を伝えておくのがベストです。
ヘルパーと上手に付き合うコツ
実際にヘルパーさんが来るようになったら、どんな点に気をつけると良いですか? うまく関係を作れるか、少し不安で……。
大切なのは「最初の数回で、細かな希望や注意点をしっかり伝える」ことです。「調味料の位置」「洗い物の乾かし方」など、ご本人のこだわりがある場合は遠慮せずに伝えましょう。ヘルパーも自宅のルールを把握することで安心して動けます。
担当のヘルパーさんがどうしても合わなかった場合はどうしたらいいんでしょう?
担当者の変更はケアマネジャーに相談すれば対応してもらえます。事業所を変更することも可能です。我慢して使い続ける必要はありません。訪問介護はご本人が「安心して任せられる」と感じられることが、継続利用の一番の条件です。
最後に、利用する際の注意点をまとめてもらえますか?
ポイントを3つにまとめますね。①サービス内容は「本人の日常生活支援」の範囲内で、家族の家事や医療行為は対象外。②費用は時間区分と地域加算で変わるため、ケアプラン作成時に概算を確認する。③困りごとや要望はケアマネジャー・ヘルパーに遠慮なく伝える——この3点を押さえておけば、サービスをうまく活用できます。
- サービスの内容・可否 → 担当ケアマネジャーに確認
- 事業所・ヘルパーへの不満 → ケアマネジャーに相談、担当変更や事業所変更が可能
- 要介護認定をまだ受けていない → 市区町村窓口または地域包括支援センターへ
- 費用の試算 → ケアマネジャーにケアプラン作成前に概算を出してもらう
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「訪問介護(ホームヘルプサービス)」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問介護費)」 (参照: 2026-06-20)
- 厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」 (参照: 2026-06-20)