最新の数字 — 20.6万人、前回から18.4%減
父の入所先を探していて、特養は待機者が多くて何年も待つと聞きました。実際はどのくらいなんでしょうか。
厚生労働省が定期的に調べています。最新は2025年12月に公表された、2025年4月1日時点の状況です。要介護3以上の入所申込者は20.6万人でした。
20万人。やっぱり多いですね。
多いことは確かです。ただこの数字は減ってきています。前回(2022年4月1日時点)は25.3万人でしたから、18.4%減りました。
もっと前と比べるとどうなんですか。
ここがいちばん間違えやすいところです。「2013年度は52.4万人だった」という数字がよく引かれますが、これは要介護1以上を含む全体の数です。いまの20.6万人は要介護3以上だけなので、そのまま引き算はできません。
| 時点 | 要介護3以上 | 当時の全体(要介護1以上) |
|---|---|---|
| 2013年度 | 34.5万人 | 52.4万人 |
| 2022年4月1日(前回調査) | 25.3万人 | — |
| 2025年4月1日(最新) | 20.6万人 | — |
2015年4月から新しく入所できるのは原則として要介護3以上になったため、それ以降の調査は要介護3以上が対象です。要介護3以上で揃えると34.5万人→20.6万人で、この12年で約4割減った計算になります。最新調査では、要介護3以上のうち在宅で待っている方が8.6万人、ほかに要介護1・2で特例入所を申し込んでいる方が1.8万人います。
同じ条件だと、4割減ですか。
はい。「半分以下になった」と言われることがありますが、それは条件の違う数字を比べた場合です。同じ土俵で見れば約4割。それでも大きく減っていることに変わりはありません。
減った理由は「入りやすくなった」だけではない
施設が増えたということですか?
それも一つの要素ですが、数え方が変わった影響が大きいと考えられます。2015年4月から、特養に新しく入所できるのは原則として要介護3以上になりました。それ以前は要介護1から申し込めたので、対象がそもそも違います。
ああ、数えている範囲が違うわけですね。
はい。もうひとつ、この調査は重複して申し込んでいる分を除いて、実際の人数に近づける形で集計されています。複数の施設に申し込んでいる方や、申し込み後に亡くなった方を除くよう、国が各都道府県に依頼しています。
それも減った理由なんでしょうか。
そこは資料に書かれていません。集計の方法としてそうしている、という説明があるだけです。減った理由としてはっきり言えるのは、いまのところ制度が変わったことのほうです。
- 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなど、特養以外の施設を待っている方
- 申し込んでいないが、入所を検討している方
- 要介護1・2で特例入所の対象になりうるが、申し込んでいない方
- 施設ごと・地域ごとの偏り(全国の合計なので、混んでいる地域の実感とは合わないことがあります)
全国の数字が減っていても、うちの地域が空いているとは限らないと。
そこが大事なところです。特養の待ち時間は地域差がとても大きいので、全国平均はあまり役に立ちません。次の章で、自分の地域を調べる方法を見ていきましょう。
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自分の地域を調べる — 自治体が公表していることがあります
うちの市の状況は、どこで分かりますか?
国の調査はこれまで3年ごとの年度で行われてきたので、間の年の動きは追えません。ただ自治体によっては、独自に申込状況を公表しています。たとえば大阪市は4月・7月・10月・1月を基準日にして、翌月の中ごろに更新しています。
どこの市でも出しているんでしょうか。
いいえ、出している自治体と、出していない自治体があります。やめたところもあります。多摩市は2026年7月末で公表を終了し、いまは各施設へ直接問い合わせるよう案内しています。
数字が出ていれば、それが順番待ちの人数ということですか?
そこは注意が要ります。厚生労働省の資料にも、申込者には「必ずしも現に入所を必要としている場合に限らない」方が含まれると書かれています。長く名簿に載ったままの方や、希望する時期・条件が合っていない方も数に入っています。
申し込んでいる=すぐ入りたい、ではないんですね。
はい。申込者数がそのまま「順番待ちの人数」ではありません。だからこの数字は、地域の混み具合の目安として見るくらいがちょうどいいです。
- お住まいの市区町村の介護保険担当課に、申込状況の公表があるか聞く
- 公表がなければ、申込先の施設に直接、現在の状況をたずねる
- 特養の申込窓口や必要書類は自治体ごとに違うので、あわせて確認する
- 入所の順番は申込順ではありません(次の項目を参照)
申込順ではないんですね。
はい。国の基準では、申込者が空きより多いとき、施設は介護の必要の程度と家族等の状況を勘案して、必要性が高いと認められる方を優先的に入所させるよう努めなければならないとされています(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第7条第2項)。実際の順位づけは都道府県の指針と各施設の判断によるので、「何番目だから何年」という計算はできません。
待つあいだにできること
申し込んだあと、ただ待つしかないんでしょうか。
いいえ。状況が変わったら、申込内容を更新してください。介護の必要度が上がった、在宅で介護している方が体調を崩した、といった変化は入所の優先度にかかわります。伝えていなければ、古い情報のまま判断されます。
こちらから伝えないと反映されないんですね。
そうです。担当のケアマネジャーに相談すれば、どこへ何を伝えればよいか整理してもらえます。在宅の負担が重くなっているなら、それ自体が相談ごとです。ショートステイの使い方を見直すなど、待つあいだの手当てもあります。
- 担当のケアマネジャー — 申込内容の更新、在宅サービスの組み直し
- 地域包括支援センター — どこに何を相談すればよいか分からないとき
- 市区町村の介護保険担当課 — 特養の申込手続きそのもの
- このサイトでは、市区町村ごとにこれらの窓口を整理しています
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出典
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(2025年12月25日公表、2025年4月1日時点) (参照: 2026-08-23)
- 厚生労働省 同 調査結果(PDF) (参照: 2026-08-23)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第7条第2項 (参照: 2026-08-23)
- 大阪市「特別養護老人ホームの入所申込状況」 (参照: 2026-08-23)
- 多摩市「特別養護老人ホームの待機者数について」(令和8年7月末日で掲載終了) (参照: 2026-08-23)