介護のはじまりガイド
老人ホームの種類を比較 — 特養・有料・グループホーム・サ高住の違いを一覧で
「老人ホームっていろいろあるけど、どう違うの?」——親の施設への入居を考え始めた方が最初につまずくのが、この「種類の多さ」です。特別養護老人ホーム(特養)、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)……名前だけでも6〜7種類あり、それぞれ入居条件も費用もまったく異なります。この記事では、まず「公的施設と民間施設」という大きな切り口で整理し、次に主要4種類の違いを一覧表で比較します。さらに「どんな状況の方にどの施設が向いているか」も具体的にまとめました。全体像を掴んでから、次のステップに進みましょう。
公開: 2026-06-21
「老人ホーム」と一口に言っても種類はたくさんある
母が要介護2の認定を受けました。在宅介護に限界を感じていて、施設を考え始めたんですが……「老人ホーム」といっても特養とか有料とかいろいろあって、何が何だかわからなくて。
施設の種類の多さは、多くの方が最初に戸惑うところです。大きく分けると、介護保険施設(公的)と民間施設の2グループがあります。さらに「住宅型」「入居型」といった形態の違いも加わるので、名前の数がとても多くなります。まず全体像から整理しましょう。
- 公的施設(介護保険施設): 特別養護老人ホーム(特養)/ 介護老人保健施設(老健)/ 介護医療院
- 民間施設(有料系): 介護付き有料老人ホーム / 住宅型有料老人ホーム / 健康型有料老人ホーム
- 民間施設(小規模・住宅系): グループホーム(認知症対応型共同生活介護)/ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- この記事では最も選ばれる特養・介護付き有料老人ホーム・グループホーム・サ高住の4種類を中心に解説します
公的と民間で何が一番違うんでしょうか?
最大の違いは費用の水準と入居のしやすさです。公的施設は介護保険で費用が大幅に抑えられる半面、入居まで待機期間が長くなりがちです。民間施設は入居しやすい分、月額費用が高めになります。次のセクションで詳しく見ていきましょう。
公的施設と民間施設の違い — まず大分類を押さえる
公的施設と民間施設では、費用や入居のしやすさがずいぶん違うんですね。具体的にどのくらい差があるんでしょう?
月額費用でいうと、公的施設は一般的に月5〜15万円程度、民間施設は月15〜35万円前後が目安です(要介護度・所得・居室タイプにより大きく異なります)。入居一時金は公的施設では原則ゼロ、民間は0円〜数千万円まで幅があります。
| 比較項目 | 公的施設(介護保険施設) | 民間施設(有料系・住宅系) |
|---|---|---|
| 主な種類 | 特養・老健・介護医療院 | 介護付き有料・住宅型有料・GH・サ高住 |
| 運営主体 | 社会福祉法人・医療法人など(営利目的の参入不可) | 株式会社・社会福祉法人など(営利法人も参入可) |
| 費用水準(月額目安) | 5〜15万円程度 | 15〜35万円程度(施設によってさらに幅あり) |
| 入居一時金 | 原則なし(特養は0円、老健・介護医療院も基本0円) | 0円〜数千万円(施設・契約方式による) |
| 入居のしやすさ | 待機期間が長い(特養は数ヶ月〜数年) | 比較的入居しやすい(空きがあればすぐ可) |
| 介護の提供方式 | 施設スタッフが24時間対応(施設介護) | 施設により異なる(施設介護型と外部サービス利用型) |
※ 月額費用の目安は全国平均的な相場です。要介護度・居室タイプ・所得段階・地域によって大きく異なります(2026年時点)。
「費用を抑えたいが、すぐに入居が必要」という場合は、特養に申し込みながら、民間施設を暫定的に利用するという方法をとる家族も多いです。どちらか一方に絞る必要はありません。
なるほど。特養の待機中に民間施設を使うという手があるんですね。次に、4種類それぞれの特徴をもっと詳しく教えてもらえますか?
主要4種類の特徴を一覧で比較 — 特養・有料・GH・サ高住
最もよく選ばれる4種類を9つの比較軸で整理しました。まず表全体を見渡してから、気になる項目をひとつひとつ確認していくと分かりやすいです。
| 比較項目 | 特別養護老人ホーム(特養) | 介護付き有料老人ホーム | グループホーム(GH) | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) |
|---|---|---|---|---|
| 運営主体 | 社会福祉法人・地方公共団体など(非営利) | 株式会社・社会福祉法人など(営利法人も可) | 株式会社・社会福祉法人など | 株式会社・社会福祉法人など |
| 入居条件(要介護度) | 原則要介護3以上(特例あり) | 施設により異なる(自立〜要介護5まで受ける施設も) | 要支援2以上(かつ認知症の診断が必要) | 60歳以上(要介護度の制限は原則なし) |
| 月額費用の目安 | 5〜15万円程度(所得により減額あり) | 18〜35万円程度(施設のグレードで大差あり) | 15〜25万円程度 | 10〜25万円程度(サービス内容により幅あり) |
| 入居一時金 | なし(0円) | 0円〜数千万円(前払い家賃方式) | 0円〜数十万円程度 | 0円〜数十万円(敷金・礼金が必要な場合あり) |
| 介護サービスの提供 | 施設スタッフが24時間対応(施設介護) | 施設スタッフが24時間対応(特定施設入居者生活介護の指定あり) | 少人数(5〜9名)での共同生活、スタッフが常時対応 | 外部の訪問介護・デイサービス等を自分で選んで利用 |
| 認知症への対応 | 対応できる(中等度〜重度が多い) | 施設により異なる(対応可能な施設も多い) | 認知症の方専門。少人数でなじみの関係を作りやすい | 施設による(認知症専門でない一般的なサ高住が多い) |
| 看取り対応 | 対応している施設が増加中 | 対応している施設が多い | 施設により異なる(対応可能な施設も増えている) | 施設により異なる(訪問看護との連携次第) |
| 待機・空き状況 | 数ヶ月〜数年の待機が一般的(地域差大) | 比較的入居しやすい(空きがあれば早期入居可) | 施設により異なる(エリアによっては待機あり) | 比較的入居しやすい(住宅型のため空室あれば可) |
| 向いている方のイメージ | 要介護3以上で費用を抑えたい方、在宅介護が難しくなった方 | 介護が手厚い環境を求め、費用を出せる方。看取りまで含む方 | 認知症があり、少人数でなじみの環境で暮らしたい方 | まだ自立〜軽度で生活の自由度を保ちたい方、見守りだけほしい方 |
※ 月額費用の目安は全国平均的な相場(2026年時点)。施設のグレード・地域・居室タイプ・要介護度により大きく異なります。特養の費用は所得段階に応じた「補足給付(特定入所者介護サービス費)」で負担が軽減される場合があります。
特養は費用が安い代わりに、要介護3以上じゃないと入れないんですね。母はまだ要介護2なので、特養はすぐには難しいということでしょうか?
原則としてそのとおりです。ただし、「やむを得ない事由」がある場合は要介護1・2でも入居できる特例があります(認知症による生活困難、家庭での虐待、一人暮らしで重篤な状態など)。要介護2の段階でも申し込み自体は受け付ける施設が多いので、早めに候補施設に相談してみることをおすすめします。
グループホームは認知症専門なんですね。母に少し物忘れがあるんですが、グループホームの対象になるんでしょうか?
グループホームへの入居には「認知症の診断書」が必要です。また、施設が所在する市区町村に住民票がある方が対象になります(広域入所を認める施設もありますが原則は同一市区町村内)。かかりつけ医や地域包括支援センターで認知症の診断を受けた上で相談するとよいでしょう。
どんな人にどの施設が向いているか — タイプ別の選び方
表で種類の違いはわかってきたんですが、「うちの母にはどれが合うのか」となると、まだ判断が難しくて……
状況ごとに「おすすめの施設」を整理しました。ご家族の今の状況と照らし合わせてみてください。
| 家族の状況例 | まず検討したい施設 | その理由 |
|---|---|---|
| 要介護3〜5で費用をできるだけ抑えたい | 特別養護老人ホーム(特養) | 介護保険施設のため月額費用が最も低く、低所得者向けの補足給付も受けられる。ただし待機期間が長いため早めに申し込む |
| 認知症があり、少人数でなじみの環境で暮らさせたい | グループホーム(GH) | 5〜9名の少人数制で認知症専門のケアを提供。スタッフとの顔なじみの関係が認知症の方の安心感につながりやすい |
| 介護が手厚い施設で、看取りまで含めてお願いしたい | 介護付き有料老人ホーム | 特定施設入居者生活介護の指定があり24時間スタッフが常駐。看取り対応の施設も多く、終の棲家として選ぶ方が多い |
| まだ自立〜軽度介護で自由な生活を続けたい | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 状況の安否確認・生活相談サービスが付く「住宅」。外部サービスを自由に組み合わせられ、生活スタイルを保ちやすい |
| 入居を急いでいるが特養は空きがない | 介護付き有料老人ホームまたはサ高住 | 民間施設は比較的空きがあり、早期入居が可能。特養の申し込みも並行して続けることができる |
| 医療的ケアが必要(胃ろう・たんの吸引など) | 介護付き有料老人ホーム(医療連携強化型)または特養(医療連携施設) | 医療依存度が高い場合は受け入れ可能な施設が限られる。施設に医療ケアの対応範囲を事前確認することが必須 |
※ 上記はあくまで一般的な目安です。実際の適合性は本人の状態・地域の施設状況・費用条件によって異なります。地域包括支援センターや担当ケアマネジャーにも相談してください。
うちの母は要介護2で認知症の診断はまだ出ていない状態なので、サ高住から始めて、状態が重くなったら有料老人ホームに移るという流れも考えられますか?
それはよくある選択肢のひとつです。「軽度のうちはサ高住→状態が重くなったら介護付き有料や特養へ」という流れは現実的です。ただし、施設を途中で移ることは本人の環境変化として負担になる面もあります。最初から「将来も継続して住める施設(介護付き有料老人ホームのように多段階対応できる施設)」を選ぶという考え方もあります。状態・費用・希望を総合的に判断しましょう。
見学・申し込みの流れと注意点
候補施設の見当がついてきました。実際に動くとなると、何から始めればいいですか?
まず複数施設の見学から始めることをおすすめします。パンフレットやウェブサイトだけでは分からない「雰囲気・スタッフの対応・においや清潔感」といったことが、見学ではっきり分かります。
- ① 候補を絞る: 地域包括支援センター・ケアマネジャー・介護保険施設を探せる「介護サービス情報公表システム」(厚生労働省)などで候補施設をリストアップする
- ② 見学は最低3施設: 1施設だけでは比較ができない。できれば種類の異なる施設を組み合わせて見学する
- ③ 見学時の確認ポイント: スタッフの言葉かけ・施設のにおいや清潔感・食事の内容・居室の広さ・医療連携の体制・看取りの方針
- ④ 申し込み・書類の準備: 施設ごとに申込書・診断書・介護保険証・収入関係書類などが必要。特養は「入所申込書」を複数施設に同時に提出できる
- ⑤ 契約前の重要事項説明書の確認: 費用の詳細・退去条件・医療対応の限界・苦情処理窓口などを必ずチェックする
特養への申し込みは、1か所だけじゃなくていくつかの施設に同時に出してもいいんでしょうか?
はい、特養は複数施設への同時申し込みが可能です。待機期間が長いため、候補施設すべてに申し込んでおくことをおすすめします。入居が決まった段階で他の施設の申し込みを取り下げれば問題ありません。民間施設(有料老人ホーム・サ高住等)も、同様に複数申し込みができます。
費用の落とし穴 — 月額以外にかかるもの
パンフレットに書いてある月額費用を見て「これなら払えそう」と思っていたんですが、他に費用がかかることはありますか?
月額費用に含まれていないものが意外に多いです。施設の「月額費用一覧」は基本的なケアの費用だけで、実際は以下のような追加費用が発生することがあります。
- 医療費・薬代: 施設の協力医療機関での受診費用・処方薬代は別途実費。通院が必要な場合は交通費も
- おむつ・衛生用品代: 特養では2015年から介護保険の対象に含まれましたが、民間施設では実費請求が続く施設もある。月5,000〜15,000円程度が目安
- 個別サービスの追加料金: 施設基本ケア以外に「入浴回数の増加」「個別リハビリ」「外出付き添い」などに追加料金が発生することがある
- 入居一時金の償却ルール: 有料老人ホームの入居一時金は「初期償却」と「月次償却」で一定期間かけて費用に充当される。早期退去でも全額返金されないケースがあるため、契約書で「償却期間」と「短期解約返戻金」を必ず確認する
- 食事代の加算: 施設によっては特別食・誕生日食などに追加料金が発生する
- 日用品・被服費: 衣類・寝具・日用品の補充費用は原則実費
入居一時金の「初期償却」というのがよくわからないんですが……
入居直後に入居一時金の一定割合(10〜30%程度)が即座に差し引かれる仕組みです。たとえば500万円の入居一時金で初期償却10%なら、入居翌日に退去しても50万円は戻ってきません。残額は月次で償却され、「償却期間(3〜5年が多い)」を超えて在籍していれば全額消化されます。「すぐに退去になるかも」という不安がある場合は、初期償却ゼロ・月払い方式の施設を選ぶと安心です。
まとめ — 次に読む記事(ハブとしての出口)
特養・有料老人ホーム・グループホーム・サ高住の違いが整理できました。それぞれの種類についてもっと詳しく知りたい場合は、どこを読めばいいでしょうか?
各施設の詳細・具体的な費用・申し込み手順については、それぞれ専門の記事で詳しく解説しています。気になる施設から読み進めてみてください。
- 特養をもっと詳しく知りたい: 特別養護老人ホーム(特養)とは — 入居条件・費用・申し込み方法
- 有料老人ホームをもっと詳しく知りたい: 介護付き有料老人ホームとは — 種類・費用・選び方
- グループホームをもっと詳しく知りたい: グループホームとは — 認知症専門の共同生活介護の特徴と費用
- サ高住をもっと詳しく知りたい: サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは — 有料老人ホームとの違いも解説
- 費用相場をもっと詳しく知りたい: 老人ホームの費用相場 — 施設種類別・所得段階別の月額目安
- 施設の選び方・チェックリスト: 老人ホームの選び方 — 見学・契約前に確認すべき30のポイント
ひとつひとつ確認していきます。まず、うちの状況に一番近そうなサ高住と有料老人ホームの比較から読んでみます。
ぜひ読み比べてみてください。迷ったときは地域包括支援センター(0円で相談できる公的窓口)に相談するのも確実な方法です。施設の種類・費用・地域の空き状況を把握している担当者が、一緒に候補を絞る手伝いをしてくれます。
関連するガイド
出典
- 厚生労働省「介護保険制度をめぐる状況について」(令和7年1月) (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込の対象者の明確化について」 (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて」 (参照: 2026-06-21)
- 厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の概要」 (参照: 2026-06-21)
- 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について」 (参照: 2026-06-21)